レーシングブルズF1チームはF1スペインGP終了後、マシン開発に人工知能(AI)技術を本格的に導入したことを明らかにした。チームは、設計とシミュレーション工程において「Neural Concept Shape(NCS)」と呼ばれる先進的なAIエンジニアリングプラットフォームを活用している。イタリア・ファエンツァに本拠を置くレーシングブルズは、従来のCFD(数値流体力学)解析に加え、AIによるモデリング技術を統合。これにより、現実のサーキット環境を模した仮想空間内で数千に及ぶ設計案を迅速に評価することが可能となり、従来では見逃して...
レーシングブルズF1のチーム代表ローラン・メキースは、次のように語っている。「F1では1ミリ秒が勝敗を分ける。設計段階での革新が、トップ争いを演じるか後方に沈むかを決めることになる。Neural Conceptの先端AI技術を導入することで、我々の空力開発はかつてない速度と精度を手に入れた。この提携によってより多くの設計案を試せるようになり、パフォーマンス向上に直結する競争力を得られる」また、Neural ConceptのCEOであるピエール・バケは、F1におけるAI活用の意義を次のように語った。「F1はエンジニアリング・インテリジェンスにとって究極の試験場だ。すべての技術的判断が限界まで試され、わずかな性能差が結果を左右する。私たちNeural Conceptは、人間の専門知識とAIの解析力との共進化によって、エンジニアリングに革命を起こすことを目指している」「レーシングブルズとの提携は、AI主導の設計ワークフローが、従来なら数週間かかっていた反復設計を数日に短縮し、開発のスピードと自由度を飛躍的に高めることを証明している。F1という最も苛烈な競争環境の中で、こうした技術の有効性が実証されつつある」Neural ConceptのAI技術は、すでにモータースポーツ以外でも採用が広がっており、米GM(キャデラックの親会社)、エアバス、ボッシュといった大手OEMも同プラットフォームを活用している。