ピレリは、2020年のF1世界選手権 第4戦 F1イギリスGPの決勝の最後の2周で3台に発生したタイヤ故障の分析結果を発表。通常よりも長い使用による高い摩耗とスピードが増した2020年F1マシンの力によってかかった極度の負荷が原因だった説明した。F1イギリスGPの決勝では、2番手を走行していたバルテリ・ボッタス(メルセデス)に残り3周で左フロントタイヤにパンクが発生して11位でフィニッシュ。カルロス・サインツ(マクラーレン)も同じ左フロントタイヤがパンクして4番手から13位に滑り落ちた。
同様のパンクは、ファイナルラップでトップを走行していたルイス・ハミルトンにも発生したが、ハミルトンに関して3輪状態でトップのままフィニッシュしている。F1イギリスGPでは13周目に発生したダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)のクラッシュによってセーフティカーが入ったことで、全チーム(ロマン・グロージャンを除く)がピットインしてハードタイヤに交換。第2スティントで36周以上を走行することになった。8月4日(火)にピレリは調査結果を発表。通常よりも長いスティントを走行していたこと、そして、増加した2020年のF1マシンのスピードと相まって、タイヤに“これまで見られたなかで最大の力”が加わった結果だと述べた。「主な理由は、個別のレースに環境により、2セット目のタイヤが非常に長く使用されたことにある」とピレリは声明で述べた。「2回目のセーフティカーピリオドにより、ほぼ全チームが予定していたピットストップを早めることとなり、その結果、カレンダーの中でも最も要求の厳しいコースのひとつでレース距離の4分の3以上となる約40周という非常に長い最終スティントを走ることに繋がった」「2020年F1マシンのペースが著しく向上(ポールポジションは2019年に比べて1.2秒速かった)したことと相まって、タイヤには史上最も速いF1マシンによって生み出される力がかつてないほどかかり、イギリスGP終盤の数周は非常に厳しいものとなった」 「全体的な結果として、タイヤにとっては最も過酷な作動条件だった。その中で、非常に多くの周回数を走ったことで(シルバーストンでは最も厳しくなるとして知られる)左フロントタイヤに最大限のストレスがかかり、結果的に高い摩耗が発生したことで極度の力から保護されない状態になっていた」日曜日のレースでの問題にもかかわらず、今週末同じシルバーストンで開催される2戦目となる70周年記念GPでは1段階柔らかいタイヤコンパインドが各チームに割当てられる。ピレリは、コンパウンドへの変更は計画通りに進めることを確認したが、使用されるタイヤの空気圧に関して“使用処方は見直される”と述べた。「今週末のシルバーストンでの2回目のレースでは、ピレリはノミネートされたコンパウンドを確認する。C2、C3、およびC4は、前回のGPで見られたものよりも一歩柔らかい」「使用法の処方も見直され、最低限のタイヤ空気圧を上げて構造へのストレスを軽減する」-----ピレリの名誉のために、今回のタイヤ故障は決してピレリだけが悪いわけではないことを強調しておきたい。タイヤメーカーとしてパンクしない耐久性の高いタイヤを製造することは可能だが、F1はショーを盛り上げためのタイヤ戦略の多様化を目的にあえてデグラデーションの高いタイヤをピレリに要求。また、F1チームはピレリが2020年F1マシン用に開発した新型タイヤの使用をマシンに変更を加えることを嫌って拒否。今季も昨年と同じタイヤが使用され、ピレリはオーバーヒート対策として昨年よりも高い空気圧を指定している。
全文を読む