2009年の開幕前から議論となっているF1ディフューザー問題。ブラウンGP、トヨタ、ウィリアムズがマシンに採用するリアディフューザーの設計に対し、ライバルチームは、レギュレーションで定められる上限の175mmを超えていると抗議。来週14日(火)に国際控訴裁判所公聴会がパリで開催され、合法か違法かが決定する。“ディフューザーギャング”と称される3チームだが、それぞれの解釈は実は別物。3チームのディフューザーは、ダブルデッカー(2層構造)とまとめられているが、実際には各F1チームの設計は異なる。
正確にはダブルデッカーを採用するのはブラウンGP。ウィリアムズ FW31はトリプルデッカー(3層構造)であり、トヨタ TF109は、ディフューザー中央部の処理が特徴となっている。ダウンフォースに大きな効果をもたらすディフューザー。実際に“ディフューザーギャング”の速さは突出しており、開幕戦オーストラリアGPでは上位6台のうち4台、第2戦マレーシアGPでは実に5台をディフューザー組が占めた。オーストラリアGPでは、レッドブル、フェラーリ、ルノーの3チームが異議を申し立てたがオーストラリアGPのスチュワードはこれを却下。マレーシアGPではBMWザウバーが抗議したが、これも却下されている。FIAのチャーリー・ホワイティングも、シーズン開幕前に3チームの解釈がレギュレーションの“抜け穴”を利用したとし、合法との判断を下している。そのため、控訴裁判でも合法と判断されるとの見方は強い。マクラーレンは違法との見解を示しているが、正式な抗議は行っていない。ブラウンGPのロス・ブラウンは、テクニカル・ワーキング・グループに対し、2008年3月に提示された2009年新レギュレーションに「抜け穴があり、修正するべきではないか」と提案したが、それは拒否されたと主張。逆にルノーとレッドブルは、今年初めに同様の空力コンセプトの合法性をFIAと討議したが、「当時は否定的な答えだった」と主張している。ルノーのフラビオ・ブリアトーレは、これらのディフューザーがダウンフォース削減を目的とした2009年レギュレーションの“スピリット”に反するとも主張している。しかし、抗議しているF1チームも、ほぼ全てのチームがすでに同様のディフューザーの開発に着手していると言われている。ただし、新しいデザインのディフューザーをマシンに組み込むためには、マシンの後ろ半分を作り変える必要があり、かなりのコストがかかるとされる。例えば、フェラーリ F60にこのディフューザーを組み込むには2000万ユーロ(約26億円)のコストがかかるとされている。反ディフューザーチームにとっては、世界的な不況下におけるこの開発コストもF1のコスト削減の動きに反すると主張している。しかし、逆に違法と判断された場合には、3チームに同様のコストがかかるということになる。しかも、3チームのうちウィリアムとブラウンGPはプライベートチームである。FIAがどのような判断を下すのか。公聴会にはフォース・インディアとトロ・ロッソを除く8チームが参加。公聴会は12日(火)の現地時間午前10時にスタートする。関連:FIA、問題のディフューザーを合法と判断 - 2009年4月15日2009年F1マシン ディフューザー画像 ブラウンGP BGP001(左)、ウィリアムズ FW31(右) トヨタ TF109(左)、レッドブル RB5(右) フェラーリ F60(左)、マクラーレン MP4-24(右) ルノー R29(左)、BMWザウバー F1.09(右)関連:ルノー:新ディフューザー (画像) - 2009年4月18日マクラーレン、暫定版「ダブルディフューザー」を搭載 - 2009年4月17日
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