オスカー・ピアストリ(マクラーレン)は、シンガポールGPでのチームメイト同士の接触をきっかけに、ランド・ノリスとの関係悪化が取り沙汰されている。レース後の無線対応やチーム祝賀会の欠席をめぐり、内部不和の噂が浮上した。スイス紙『Blick』は、ピアストリが2026年までマクラーレンと契約しているものの、「2027年にはフェラーリ移籍を視野に入れている」と報じており、王座確定の裏でチーム内に緊張が走っている。
マクラーレンはF1シンガポールGPで2025年のコンストラクターズタイトルを確定させたが、その裏でピアストリとノリスの確執が注目を集めた。オープニングラップでノリスに外側へ押し出されたピアストリは無線で「チーム的じゃない動きだ」と不満を漏らし、さらにチームがポジションの入れ替えを指示しなかったことで怒りをあらわにした。レース後、ザク・ブラウンCEOからの祝福メッセージの際にピアストリが通信を切ったことも、チーム内不和の噂を強めた。しかしチーム代表アンドレア・ステラはその「沈黙」について、「オスカーがピットに戻ったとき、我々はエンジンを切るよう指示した。その5秒後に車全体の電源を落とした。そうするとFOMの通信も同時に停止するんだ」と説明し、誤解を否定した。また、ピアストリがマクラーレンの公式表彰台セレモニーに姿を見せなかった理由についても、ステラは「即興のセレブレーションだった。オスカーはメディア対応中で、他の多くのチームメンバーもそこに間に合わなかった」と釈明している。それでもステラは、チーム内ライバル関係を慎重に管理する必要があると認めている。「我々のレビューは非常に詳細かつ分析的でなければならない。両ドライバーの視点を考慮し、共通の見解を形成する必要がある。もし誰かがルールが不公平に適用されていると感じ始めたら、それがルール違反やシステム全体の崩壊につながる恐れがある。今まさにこうした議論が極めて重要だ」と述べた。一方ノリスは、ピアストリの批判を一蹴している。「大きな隙間の内側にクルマを入れたことで非難されるなら、F1にいるべきじゃない」と語り、強気の姿勢を崩さなかった。欧州各国メディアもこの「分裂」に注目している。スペインの『AS』は「チームの祝勝ムードは演出に過ぎなかった」と報じ、マクラーレンが内部統制を強化するため「論争の的である“パパイヤ・ルール”をさらに厳格化する可能性がある」と伝えた。フランスの『L’Équipe』はピアストリのメディア対応を「氷のように冷たい」と表現し、イタリアの『ラ・ガゼッタ・デッロ・スポルト』も「チーム内の戦いが本格的に火を噴き始めた」と報道。ドイツ『スカイ・ドイチュラント』のラルフ・シューマッハは「オスカーは神経質になっている。今はより敏感だ」と指摘し、メルセデス代表トト・ヴォルフも「そのうちお互いに肘を使うような場面が出てくるだろう」と語った。オーストリアの『クライネ・ツァイトゥング』は「マクラーレン、タイトル獲得も内紛勃発──ピアストリはすでにチームに嫌気が差しているのか?」との見出しで報じ、タイトル獲得の裏に潜む不穏な空気を伝えている。