2026年F1バルセロナテスト最終日は、ルイス・ハミルトンの鮮烈な一撃で締めくくられた。フェラーリの新車SF-26を駆るハミルトンは、金曜終盤の最終セッションで全力を引き出し、この日、そしてテスト全体を通じて最速となるタイムを記録した。ガレージのシャッターが下り始め、時計の針も残りわずかを示していた中、フェラーリはハミルトンのマシンにソフトタイヤを投入した。
データ収集が淡々と続いていたテストの空気は一変し、パドック全体に強烈な存在感を放つ一周が刻まれた。タイムは1分16秒348。赤いマシンが放ったそのラップは、明確な意思を感じさせるものだった。最後のアタックが序列を揺さぶるこの土壇場のフライングラップにより、ハミルトンは非公開のタイムシートで首位に浮上。長くトップにいたランド・ノリスを押し下げ、前日にジョージ・ラッセルが記録していた基準タイムをコンマ1秒上回った。テストという文脈では、すべてを意味するわけでも、何かを決定づけるわけでもない。燃料搭載量は不明で、各チームの走行プログラムは秘匿され、実際のパフォーマンスはまだ見えてこない。それでも、見え方は重要だ。ドライバーとチームの双方にとって厳しいシーズンを経た後、この一撃は確かな士気向上につながるものだった。フェラーリの確かな積み上げフェラーリは、この一周だけで週を締めくくったわけではない。SF-26はテストを通じて信頼性と走行距離を重視しながらカタロニアのコースを周回し、着実に基盤を築いていた。栄光を狙う動きは、あくまで最後の瞬間に取っておかれた。午前中にはシャルル・ルクレールがすでに1分16秒台に入れていたが、ハミルトンは状況を見極め、条件が整うのを待ってから踏み込んだ。結果として、ノリスの1分16秒594は2番手に後退し、ルクレールが3番手。フェラーリはこの日の序列で1位と3位を占めた。各陣営の最終日4番手にはマクラーレンのオスカー・ピアストリが続き、レッドブルは走行中断を経て復帰したマックス・フェルスタッペンが、ターン10での小さなオフを挟みつつトップ5を締めた。アストンマーティンでは、エイドリアン・ニューウェイが手がけたAMR26の初期走行が続き、フェルナンド・アロンソが61周を重ねてマシンの理解を進めた。アルピーヌのピエール・ガスリーは160周を走破して6番手と、この日の最多周回を記録。一方、新規参戦のキャデラックは基礎作業に集中し、バルテリ・ボッタスが最後尾に位置した。なお、メルセデスはすでに週前半で割り当てられた走行を終えており、レーシングブルズとウィリアムズとともに最終日は走行していなかった。テスト以上の意味を持つ一周このラップが勝利やポール、タイトルを約束することはない。それでも、制御された慎重なテスト週間の終盤、タイミングを逃さず最大限を引き出したその一周は、単なる数字以上のものとして受け止められた。チャンスが訪れたとき、いつ踏み込むべきかを知っている。その感覚が、フェラーリの新たな先頭に立つルイス・ハミルトンには、今も確かに残っている。