2025年MotoGP第9戦イタリアGP決勝(ムジェロ)は、マルク・マルケス(ドゥカティ)の圧巻の走りで幕を閉じた。前日のスプリント勝利に続き、日曜の決勝でもライバルたちを振り切り、完全勝利を達成。ランキング首位をがっちりキープした。ムジェロでは、ドゥカティのワークス勢がルネサンスをテーマにした特別カラーリングを披露。その中で序盤は壮絶なトップ争いが展開され、マルケス兄弟とフランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ)の3人が三つ巴の攻防を繰り広げた。
スタート直後、マルクは2コーナー「ルコ」でバニャイアに先行を許すが、これが激戦の幕開けとなる。ホームストレートでのスリップストリーム合戦と「サン・ドナート」へのブレーキング勝負、「マテラッシ」での接触など、数周にわたる息詰まる攻防が続いた。その中でバニャイアは、マルクの仕掛けに反応してチームメイトのリアに接触。これにより一時的に後退し、アレックス・マルケスに先行を許す。再び先頭に返り咲く場面もあったが、結局はマルクとアレックスの兄弟に抜かれ、3番手に後退。中盤、マルクがアレックスをオーバーテイクしてトップに立つと、その後は後続を一気に引き離し、最終的には2秒差でフィニッシュ。これでランキング2位のアレックスとの差は40ポイントに広がった。一方、終盤にはファビオ・ディ・ジャンアントニオ(VR46ドゥカティ)が猛追。イタリアの人気歌手チェーザレ・クレモニーニとのコラボ特別カラーで臨んだ今大会、ラスト2周の「カザノバ」から「サヴェッリ」で鮮やかにバニャイアを攻略し、3位表彰台を獲得。アレックスにも0.2秒差まで迫る健闘を見せた。バニャイアは4位に終わり、マルクとの差は110ポイントに開いた。5位は単独走行となったマルコ・ベッツェッキ(アプリリア)。6~10位には、フランコ・モルビデリ(プラマック・ヤマハ)、ラウル・フェルナンデス(トラックハウス・アプリリア)、ペドロ・アコスタ(KTM)、ブラッド・ビンダー(KTM)、そして負傷明けの小椋藍(フェルナンデスのチームメイト)が続いた。モルビデリは中盤、ターン1でマーベリック・ビニャーレス(テック3 KTM)を抜かれたが、直後の「マテラッシ」で強引にインを突き、接触によりビニャーレスをリタイアに追い込んだ。この件でロングラップペナルティを受け、1回目の実施が不適切だったため再度実施。順位を下げたが、終盤フェルナンデスを再度抜き6位を確保した。小椋の新人王争いのライバル、フェルミン・アルデグエルは序盤の混乱でコース外に逃れざるを得ず、最後方近くからの追い上げとなったが、最終的にホンダ勢最上位となるジョアン・ミルの後ろ12位でフィニッシュ。ファビオ・クアルタラロとミゲル・オリベイラのヤマハ勢は終盤に接近戦を展開。最終的にオリベイラが0.007秒差で先着した。LCRホンダのソムキアット・チャントラはスタート手順違反でダブル・ロングラップを受け、トップから70秒遅れで完走。ヨハン・ザルコ(LCRホンダ)とエネア・バスティアニーニ(テック3 KTM)は序盤で転倒リタイア。ジャック・ミラー(プラマック・ヤマハ)はマシントラブルかピットインで戦列を離れている。2025年 MotoGP イタリアGP 結果1.マルク・マルケス(ドゥカティ・レノボ・チーム)2.アレックス・マルケス(BK8グレシーニ・レーシングMotoGP)3.ファビオ・ディ・ジャンアントニオ(プルタミナ・エンデューロVR46レーシングチーム)4.フランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)5.マルコ・ベッツェッキ(アプリリア・レーシング)6.フランコ・モルビデリ(プルタミナ・エンデューロVR46レーシングチーム)7.ラウル・フェルナンデス(トラックハウス・レーシング)8.ペドロ・アコスタ(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)9.ブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)10.小椋藍(トラックハウスMotoGPチーム)11.ジョアン・ミル(ホンダHRCカストロール)12.フェルミン・アルデゲル(BK8グレシーニ・レーシングMotoGP)13.ミゲル・オリベイラ(プリマ・プラマック・ヤマハMotoGP)14.ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム)15.アレックス・リンス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム)16.中上貴晶(ホンダHRCカストロール)17.ロレンツォ・サバドーリ(アプリリア・レーシング)18.ソムキアット・チャントラ(IDEMITSUホンダLCR)リタイア:ジャック・ミラー(プリマ・プラマック・ヤマハMotoGP)※9周目でリタイア