中上貴晶 惜しくも表彰台を逃す。再スタートとなったレースで7位レッドブル・リンクで開催された第6戦スティリアGPは、17周目の1コーナーでマーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)が転倒、エアーフェンスに激突したマシンが炎上するアクシデントで赤旗中断となった。その後、レースは12周で再開され、中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)が7位でチェッカーを受けた。
今季初のフロントロー2番手から好スタートを切った中上貴晶は、オープニングラップで3番手につけると、15周目に前を走るジャック・ミラー(ドゥカティ)をパスして2番手に浮上。トップを走るジョアン・ミル(スズキ)の追撃態勢に入った。この時点で、4番手以下との差は開いており、中上貴晶の初表彰台はほぼ確実と思われたが、予想もしなかった赤旗中断で、レースは振り出しに戻った。中断になった時点で2番手だった中上貴晶は、再び2番グリッドから決勝に挑んだが、オープニングラップに7番手へとポジションを落とし厳しい戦いとなった。その後、8周目に先行するブラッド・ビンダー(KTM)をかわし6番手へ。11周目にアレックス・リンス(スズキ)に抜かれ7番手へポジションを落とし、チェッカーを受けた。12周というスプリントレース。優勝したミゲル・オリベイラ(KTM)から中上貴晶までのタイム差が、わずか1.864秒という大接戦。2番手を走行しながら赤旗中断になったことが悔やまれるが、初のフロントローから初表彰台にあと一歩に迫った中上貴晶の次戦の走りに大きな期待が膨らんだ。先週のオーストリアGPに続き、今大会も赤旗中断となり、選手たちにとっては精神的に厳しいレースとなった。その中でアレックス・マルケス(Repsol Honda Team)は、16番グリッドから決勝に挑んだレース1は14番手を走行。再開されたレースは、前を走っていたマーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)が転倒リタイアしたことで13番グリッドからスタートし、序盤は12番手を走行したが、大接戦の中でポジションを落とし16位でフィニッシュした。ポイント圏内の争いはし烈で、フランコ・モルビデリ(ヤマハ)を厳しく追撃したが、惜しくもポイント獲得は果たせなかった。カル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)は、中断するまでは15番手とポイント圏内を走行したが、レース2では、タイヤのパフォーマンスを活かし切れず17位。アレックス・マルケスとカル・クラッチローを追ったステファン・ブラドル(Repsol Honda Team)も18位でフィニッシュと、3選手ともにポイント獲得を果たせない厳しいレースとなった。中上貴晶(MotoGP 7位)「7位という結果にがっかりました。赤旗中断は残念でしたが、でも、これがレースです。仕方がありません。中断になるまでは完ぺきな走りでした。ジャック(ミラー)を抜いて2番手に上がってからは、ミルに追いつけると思ったし、優勝も可能だと感じました。レース2は12ラップで行われましたが、2レースともにベストを尽くしました。残念ながらレース2は表彰台争いができませんでしたが、次戦に向けて大きな自信になるレースでした。2週間のインターバルを経て、また3連戦となります。次の連戦では表彰台に立つために今まで以上に全力を尽くしたいです。すばらしい仕事をしてくれたチームとすべてのスタッフに感謝します」アレックス・マルケス(MotoGP 16位)「今日のレースは、結果はいいとはいえませんが、経験豊富なライダーたちと一緒に走ることができ、その中から本当に多くのことを学ぶことができました。マーベリック(ビニャーレス)の転倒を目の前で見ましたが、本当に恐ろしものでした。ケガがなくてよかったです。次戦からの復活を願っています。今大会はポジティブなポイントをたくさん見つけることができました。フィーリングも改善されました。そして、さらに改善すべきポイントも明確になってきました。次戦のミサノの目標は、自分のライディングスタイルをしっかり見つけることです。厳しい3連戦でしたが、次の戦いに向けて、今はしっかり充電したいです」カル・クラッチロー(MotoGP 17位)「今日のレースに期待していましたが、17番手というグリッドからのレースは厳しいものでした。昨日の状態からバイクを改善したかったのですが、期待したような改善は果たせませんでした。レース1はリアにミディアムを使ったのですが、ソフトを使ったレース2よりフィーリングはよかったと思います。ソフトでは、コーナーの進入と加速でマシンが安定しませんでした。そういう状態の中で、なんとかグループの中にとどまろうと全力を尽くしたのですが、最後まで厳しい走りを強いられました。今大会のデータをしっかり分析して、次戦のミサノでは問題を解決したいと思っています」ステファン・ブラドル(MotoGP 18位)「6カ月間、MotoGPマシンに乗らない状態で3レースをこなすのは、とても厳しいことでした。しかし、その3レースを走り終えて、多くのことを達成できたと思います。そして、学ぶことができました。今日はいいスタートが切れず、その後、コーナーでミスをしてポジションを落としました。再開されたレースではいいスタートが切れました。ペースもそれほど悪くはなく、アレックスとカル(クラッチロー)とのギャップを縮めることができました。今日は一歩前進できたと思います」
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