2026年F1モナコGPは、キミ・アントネッリ(メルセデス)が今季6戦連続となるメルセデスのポールポジションを獲得してスタートする。しかし、モンテカルロではポールポジション以上に重要なのがレース中のトラックポジションだ。フロントローにはマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)が並び、スタート直後のサン・デボーテで首位奪取を狙う。さらに2列目にはルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールのフェラーリ勢が続き、アイザック・ハジャーが5番手につけた。
一方、ジョージ・ラッセルは6番手、マクラーレン勢は4列目に沈んだ。通常のモナコであれば追い抜きは極めて困難なため、レース結果は戦略担当者の判断によって大きく左右されることになりそうだ。モナコではトラックポジションがすべてモナコGPは「退屈なレース」と評されることもあるが、近年は必ずしもそうではない。2025年は2ストップ義務化ルールが導入された特殊なレースとなったが、このルールは2026年には廃止された。2024年はスタート直後の赤旗によってレースの様相が大きく変化。シャルル・ルクレールはミディアムタイヤでスタート後、赤旗中にハードへ交換し、そのまま優勝した。2022年と2023年は雨の影響を受けたため、最後に典型的なモナコ戦略が見られたのは2021年まで遡る。その2021年は、マックス・フェルスタッペンがソフト→ハードの1ストップ戦略で優勝。トップ勢の大半が29〜35周目にピットインする展開となった。最速戦略はソフト→ミディアムピレリのシミュレーションによると、2026年モナコGPの最速戦略はソフトタイヤでスタートし、ミディアムタイヤへ交換する1ストップ戦略だ。理想的なピットウインドウは31〜37周目付近とされている。ただし、実際にはそこまで単純ではない。モナコではタイヤ摩耗が非常に少なく、レースペースも安定しているため、多くのドライバーはセーフティカーやバーチャルセーフティカーを待ちながらスティントを延ばす可能性が高い。また首位争いをするドライバーたちは、ピットアウト後に中団グループへ引っ掛かることを避けたい。そのため、20秒前後のギャップを確保するまでピットインを遅らせる可能性もある。対抗策はソフト→ハード各ドライバーは新品ハード1セット、新品ミディアム1セット、そして複数セットのソフトを残している。そのため代替戦略として最も現実的なのはソフト→ハードだ。こちらの最適ピットウインドウは29〜35周目。ピレリのモータースポーツ責任者ダリオ・マラフスキは次のように説明している。「クリーンなレースになれば、明らかにソフトとミディアムによる1ストップが最有力だ」「2番目の選択肢はソフト→ハードで、数秒遅くなる」「3番目はミディアム→ハードだが、通常のレースでは最適な選択ではない」ミディアム→ハードはオーストラリア、中国、日本、マイアミで勝利実績がある組み合わせだが、モナコではスタート時のグリップ不足が大きなデメリットとなる。戦略家たちが恐れるのは赤旗2026年モナコGP週末は赤旗の連続だった。FP1、FP2、FP3、予選のすべてで赤旗が提示され、サポートレースでも複数回の中断が発生している。そのため各チームが最も警戒しているのが決勝での赤旗シナリオだ。ソフトタイヤでスタートする最大の利点は、スタート加速だけではない。仮に1周目で赤旗が出た場合、ミディアムやハードへ交換して残りのレースを走り切る柔軟性を確保できる。ピレリによれば、赤旗後の再スタートではミディアムタイヤが最適になる可能性が高いという。勝負を決めるのはスタートかセーフティカーか天候面では雨の可能性はわずか5%とされており、決勝はドライコンディションになる見込みだ。そのため勝敗を分ける最大の要素は、スタート直後のポジション争いとセーフティカーのタイミングになる。アントネッリはポールポジションからレースを支配できる立場にあるが、今季はスタートで順位を失う場面も少なくなかった。フェルスタッペンにとっては、1コーナーまでが最大のチャンスとなる。一方で、後方のフェラーリ勢やハジャー、ラッセルらはセーフティカーやアンダーカットを利用した戦略勝負に活路を見いだすことになる。モナコでは予選が勝負を決めると言われる。しかし2026年の決勝は、セーフティカー1回で勢力図が一変する可能性を秘めている。スタートと戦略の駆け引きが、伝統のモンテカルロで最大の見どころとなりそうだ。
全文を読む