メルセデスは2026年シーズンのF1で両選手権をリードしているものの、シーズンを通じてパワーユニットの信頼性問題に苦しんでいる。そして、FIAがオーストリアGPを対象に「ヒートハザード(高温警戒)」を宣言したことで、その懸念はさらに大きくなりそうだ。レッドブル・リンクは高速レイアウトが特徴で、理論上はストレート性能に優れるメルセデスに有利なサーキットと考えられている。
また、高地に位置するため、小型ターボを採用するフェラーリは標高の影響を受け、パフォーマンス向上が制限される可能性もある。しかし、メルセデスも決して安心できる状況ではない。チームが抱える信頼性問題は、シュピールベルクの厳しい環境でより深刻になる恐れがある。バッテリー問題に高温が追い打ちメルセデスのパワーユニットで最も深刻な課題となっているのはバッテリー関連のトラブルだ。元F1ドライバーのジョリオン・パーマーは、メルセデスには「根本的な電気系統の問題」があると指摘している。実際、カナダGPではジョージ・ラッセルが首位争いの最中にバッテリーが故障。続くスペインGPではアンドレア・キミ・アントネッリも同様のトラブルに見舞われ、レース終盤にリタイアを喫した。この問題はワークスチームだけにとどまらない。メルセデス製パワーユニットを使用するカスタマーチームにも影響が及んでおり、マクラーレンではランド・ノリスがカナダGPとモナコGPでメカニカルトラブルによりリタイアしている。そうした状況の中、FIAはオーストリアGPで気温およびヒートインデックスが基準値を超える見通しとなったことから、週末に「ヒートハザード」を宣言した。高温の路面環境は冷却系やバッテリーへの負荷をさらに高めるため、メルセデスとカスタマーチームにとっては、さらなるメカニカルトラブルのリスクを抱えることになる。性能と信頼性の難しいバランスメルセデスにとって、オーストリアGPでエンジントラブルを再発させる余裕はない。一方のフェラーリは今週末にパワーユニットのアップグレード投入を予定しており、もしメルセデスが信頼性問題でポイントを失えば、両チャンピオンシップ争いでライバルとの差は一気に縮まる可能性がある。さらに厄介なのは、現時点でメルセデスが決定的な解決策を見いだせていないことだ。バッテリーの信頼性を確保するためにパワーユニットの出力を抑えれば、今度は最高速やレースペースが犠牲になる可能性がある。シュピールベルクの暑さは、メルセデス製パワーユニットにさらなる負荷を与えることになる。冷却性能の確保とバッテリー管理を両立できなければ、今季序盤に築いた優位性が揺らぐ週末となるかもしれない。メルセデスは高速サーキットとの相性では優位に立つとみられているが、FIAのヒートハザード宣言によって最大の課題は信頼性へと移った。オーストリアGPでは純粋な速さだけでなく、高温環境を乗り切る耐久性が結果を左右する重要な要素となりそうだ。