メルセデスF1がモナコGPに持ち込んだアップグレードパッケージは、約束通り、オリジナルの「ゼロポッド」W14とはまったく異なる姿へと変身した。これは、W13とW14の両方のオリジナルコンセプトが単に競争力がなかったことを受け入れるという観点から、チームが行った最初のアップデートである。その結果、W14の既存のタブを使ってできることには限界があり、そのタブは現在破棄されているコンセプトに基づいて設計されているが、今年中に変更することはできない。
コックピットの位置やサイドインパクトバーの位置は変更されない。そのため、メルセデスが新型サイドポッドに施すことができるアンダーカットの量は限られているようだ。サイドポッドは以前よりもかなりワイドになり、ラジエーター用の狭い縦長のインテークは、より一般的な横長の開口部に置き換えられた。上部のサイドインパクトバーは依然としてウィングレットとして使用されており、その周りに空気力学的なシュラウドがあり、空気をフロアエッジに向かってダウンウォッショしている。しかし、幅広のサイドポッドフロントは、レッドブルのような深いアンダーカットではなく、フェラーリのようなアンダーカットチャンネルを備えている。したがって、できるだけ多くの空気をボディ下部からコークボトル(そしてディフューザー出口)へ流すのではなく、その代わりに(バスタブの基本構造上必然的に)サイドポッド前部で空気を車外へ流し、後部のボディワークの形状を利用して空気圧を操作し、その流れを再びコークボトル部へ内側に引っ張り込むことになる。もうひとつの大きな変化は、フロントサスペンションのジオメトリーに、より高度なアンチダイブ機構が組み込まれたことだ。これは、前方のトップウィッシュボーンと後方のトップウィッシュボーンの高さの差で定義される。その角度が大きければ大きいほど、アンチダイブの度合いも大きくなる。前方ウィッシュボーンをより高く移動することで、その角度は約30度まで増加した。レッドブルRB19は、約45度のアンチダイブアングルを利用している。以前のW14のフロントサスペンションは約15度だった。マシンの潜り込みに対する抵抗が大きくなることで、コーナーの各段階でより安定したエアロバランスが得られ、マシンを低く走らせることができるようになり、アンダーボディのダウンフォースが増加する。