メルセデスF1のチーフデザイナーを務めるジョン・オーエンは、新型コロナウイルスのパンデミックによる2020年シーズンの開幕の遅れが、F1エンジンの信頼性問題を解決するために必要な時間を与えたと語る。2019年にフェラーリにエンジンパワーで差をつけられたメルセデスは、冬の間にパフォーマンスを追求。しかし、プレシーズンテストでは2回のエンジン故障に見舞われるなど、不安を残すことになった。
ブリックスワースにあるメルセデスのHPPエンジン部門は、冬季テストの終了から2020年シーズンの開始までの短期間で、パワーユニットの問題を解決するために24時間体制で取り組んだ。しかし、開幕戦のためにメルボルンに向かった際にはすべての問題は解決されていなかった。「正直、新型コロナウイルスはちょうどいいタイミングでやってきた」とメルセデスのチーフデザイナーを務めるジョン・オーエンは語った。「開幕戦が始まる前はまだエンジンに深刻な問題があった。HPP部門は永続的な問題を発見したばかりで、まだ解決策を探していた」「彼らは文字通りもう1日必要だったが、オーストラリアの前にその時間はなかった」だが、F1オーストラリアGPは、マクラーレンのチームメンバーが新型コロナウイルスに感染したことで、金曜フリー走行の1時間前に中止が決定。そこからF1は約4か月の中断を余儀なくされた。F1はカレンダーを組み直し、新型コロナウイルス危機への対応として、夏休みを早めてファクトリーを停止したが、メルセデスは開幕の遅れによって7月のオーストリアGPまでにF1エンジンの休業を乗り越えることができた。「オーストラリアでレースシーズンは始まらなかった」とジョン・オーウェンは付け加えた。「その直後、我々のエンジン部門は最大の問題を解決することができた。だが、それが最初のレースだったら、かなり苦痛だったかもしれない。我々はとても幸運だった」「その後、主に信頼性を向上させて、オーストリアGPにエンジンの新しい仕様を導入した」最終的にメルセデスは3基のエンジン制限内でシーズンを乗り切り、17戦中13勝という圧倒的な強さでシーズンを終えた。