マクラーレンF1のアンドレア・ステラ代表は、ライバルのレッドブルが仕掛けた告発合戦について「むしろ自滅行為だった」と痛烈に批判した。フロント/リアウイングのフレックス疑惑や違法なタイヤ冷却手法まで持ち出したレッドブルだが、FIAの検査でマクラーレンはすべて適合と認められている。ステラは、レッドブルがFIAに膨大な資料を提出し対応に時間を費やしたことが「本質からの目そらし」になったと指摘。「我々は自分たちの仕事に集中しただけだ」と強調し、チーム内では逆に優位性を確信する材料になったと明かした。
2025年シーズン序盤、マクラーレンのマシン優位性を巡る疑惑は、むしろレッドブルが「荒唐無稽な理論」に時間を割いていることを示し、マクラーレンにとって安心材料となった。アンドレア・ステラ代表によれば、両者のライバル関係が最高潮に達したのは2025年序盤であり、その過程がかえってレッドブルに不利に働いたという。レッドブルはクリスチャン・ホーナー前代表の下、2024年からFIAに対してマクラーレンのフロント/リアウイング過度のフレックスや、ホイール内部への水の注入によるタイヤ冷却の疑いを訴えていた。しかし2025年、レッドブルは想定した進歩を果たせず、マクラーレンがさらにパフォーマンスを引き上げる中で実施されたウイング規制強化も効果はなく、むしろマクラーレンの優位性を補強する結果となったとチーム内では考えられていた。その後レッドブルはさらに踏み込み、マクラーレンがいかにしてリアタイヤを優れた状態で維持しているかを追及。ピットストップ時の赤外線画像を入手し、複数のほぼ完全に違法な冷却手法を含む膨大な理論集をFIAに提出した。ステラはThe Raceに対し、これは大きな「妨害」になり得たと述べたが、同時に「相手がそれに没頭しているなら、むしろ彼らが自ら気を散らしていることになる」と語った。「上層部の人間がFIAと議論し、資料を作るのに時間を割くのは良いことだ。そうした注意をF1の本質ではなく、そちらに向けているわけだから」ステラは、マクラーレンは自分たちが規則の抜け穴を突いているという考えを否定し、「我々は自分自身とF1の基礎に集中することで成功できると証明してきた」と強調した。疑惑により、FIAはマイアミGP後を含めマクラーレンのホイールやブレーキシステムを繰り返し精査したが、すべて合格している。ステラはこの対応を「理性的で事実に基づいたもの」とし、FIAに対しては全面的に協力したと語った。「正直に言えば、我々が耳にした疑惑は非常に軽率なものだとすぐに分かった。1時間かけてFIAに部品を見せることになっても、それは妨害にはならない。我々の仕事の集中をそぐものではない」ただし、根拠の乏しい告発がFIAと当該チームの双方に無駄な作業を発生させる点は問題だと指摘し、将来的には告発にはより大きな経済的負担や立証責任を課すべきだと述べた。マクラーレンは、レッドブルが「F1の本質に注意を払っていなかった」と考えており、これは極めて痛烈な批判である。ステラは、ホーナーの後任となったローラン・メキースはこうした無益な負担を避けるはずだと示唆した。実際、ホーナー退任後の2戦におけるレッドブルの姿勢は静かであり、ザク・ブラウンCEOもメキースとはより良好な関係を築いていると語っている。メキース自身も、今後は対立ではなく建設的な協調を重視する方針を示している。「サーキット上での競争は一つのことだが、スポーツの将来や戦略的課題について議論するのは競争相手同士でも当然だ」とメキースは述べた。「意見が対立することもあるが、我々は短期的・中期的な利益を守るだけでなく、スポーツを前進させるために建設的に議論を進めたい」