1997年のF1ワールドチャンピオン、ジャック・ヴィルヌーブは、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリによるマクラーレン内部のタイトル争いが、すぐに“伝説的なチーム内抗争”に発展することはないだろうと語った。2025年シーズン前半を終え、コンストラクターズランキングを独走するマクラーレン。注目は後半戦でどちらの若手ドライバーが主導権を握るかに移っている。
「彼らは、お互いが勝った時にも嬉しそうに見える。それってちょっと不思議な状況だよね」とヴィルヌーブは伊紙『La Gazzetta dello Sport』に語った。「セナとプロストが同じことをするなんて想像できないよ」「でも、マクラーレンがコンストラクターズタイトルを確実にしたら、2人はもっとコース上で自分の個性を出してくると思う。そうなれば、2人の戦いは本格化するだろうね」「少なくとも、そうなることを期待してるよ!」マクラーレンのCEOであるザク・ブラウンも、蘭紙『De Telegraaf』の取材に対して、チームが“公正かつ平等なレース”というポリシーを維持していると語った。その方針は、接触を防ぐためのいわゆる“パパイヤルール”によって内部的に徹底されているという。「我々はドライバーたちを公平かつ平等に扱っている」とブラウンは語った。「誰がチャンピオンになるかは彼ら自身に決めさせる。同時に、コンストラクターズタイトルは自ずと決まってくるよ」ただし、ブラウンもその方針に伴うリスクは認識している。「ドライバーの視点からすれば、リスクと呼べるものもある。たとえば、2007年のようなケースだ」と、ハミルトンとアロンソが激突したシーズンを引き合いに出した。「どちらか一方を優遇すれば、もう一方がチームを離れるかもしれない。それがデメリットなんだ」実際、ピアストリはシルバーストーンでの物議を醸したペナルティによって勝利を逃した後、怒りを露わにしていた。だが、ブラウンによれば、その件もすでに収束しているという。「オスカーはシルバーストーンのレース後に怒っていた。それも当然だと思うよ。僕が彼との間に入ってその空気を和らげなければならなかった」とブラウンは明かした。「SNSではファンから辛辣なメッセージを受け取ることもある。あのレースの後、オスカーファンからのメッセージでかなりキツいものがあった。オスカーと一緒に歩いていた時に、そのメッセージを見せたら、彼は『それ見せなくてよかったのに!』って言ってたよ」と笑いながら振り返った。「その時にはもう彼も落ち着いていたね」また、先週末のハンガリーGPでも両者は接触こそ免れたものの、僅差のバトルを展開。マクラーレンは1-2フィニッシュを果たしている。「緊張感はこれからさらに高まるだろうね」とブラウンは語る。「確実にコース上でバトルする場面は増えるはずだ。ただ、意図的に互いを弾き飛ばすようなことはないと信じている」「レース中の接触というのは、このスポーツの一部だからね」
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