ロータスF1チームの将来に関する不確実性は、2015年シーズンが終了しても続くことになりそうだ。ルノーは、ロータスF1チームの買収について基本合意書にサインしたが、ロータスの副チーム代表を務めるフェデリコ・ガスタルディは、ルノーによるロータス買収契約が正式に結ばれるのは12月になってからだろうと述べている。
元F1チームオーナーのエディ・ジョーダンは「私はF1における同意書というものを常に信用していない」とコメント。「それらはまったく意味のないものだ。それらが書かれている紙の価値さえない」ルノーやフランスの石油会社トタルとの関係も深かったフランス出身のロマン・グロージャンが、ルノーの新ワークスチーム誕生を待つことなく、2016年にF1に新規参戦を開始するハースへの移籍を決めたのもそういう背景があってのことだろう。ルノーによる買収契約が正式に成立するまで、財政難を抱えるロータスとしては、その日暮らしを続けるしかない。実際、先週末のF1ロシアGP決勝でクラッシュしてクルマを大破させたロマン・グロージャンは、2週間後のF1アメリカGPまでにクルマを修理するためのパーツがあることを願っていると語っている。そのロマン・グロージャンの後任に挙げられているジョリオン・パーマーも神経質になっている。ジョリオン・パーマーは「もちろん、シートを確保したいけど、できないんだ。僕がそうしたいと思っていることは秘密ではない」と BBC にコメント。「もし、ルノーによる買収が実現しなかったら、現在のオーナーが大きな負担を抱えてしまうことになるだろうし、彼らは来年に向けては何か違う手段を講じことになるだろう」ただし、ルノーとロータスの買収が成立したとしても、ジェリオン・パーマーのシートは決して安泰とは言えない。現在マクラーレンのリザーブドライバーを務めているケビン・マグヌッセン、同じくマクラーレンのテストドライバーであり、今季のGP2チャンピオンとなったストフェル・ファンドールネ、そしてフェラーリの開発ドライバーをジャン・エリック・ベルニュなどの候補者に挙げられている。だが、ルノーとロータスの状況は思った以上に複雑なようだ。フェデリコ・ガスタルディは「もはや、我々だけで決定するわけにはいかない」と BT にコメント。「チームの買収には長いプロセスが必要だし、おそらく12月までかかるだろう」「それ以前には何かの決定がなされることはないと考えている。ルノーの首脳部が突然ほかの判断をするようなことがあれば別だがね」ロータスには、現時点では来季のドライバーのことを考える余裕もないというのが実情のようだ。「我々はロマンがチームを去ることを決めたことにショックを受けた。彼はうちのドライバーとして最適な人物だったから」とフェデリコ・ガスタルディとコメント。「彼には経験もあり、我々とともに年々も過ごしてきた。それに彼はフランス人だ。だから、彼がハースへ行くという決断をしたことには驚かされた」「我々は、新しいドライバーを探す必要が生じるとは考えていなかったし、正直に言って、現時点では候補者のリストさえ作っていない」ルノーがエンストンに本部を構えるロータスを買い戻して、新生ルノーF1が誕生することになれば、フランス人のジャン・エリック・ベルニュなどは有力な候補者となりそうだ。だが、フェデリコ・ガスタルディは「私の個人的意見だが、国籍はそれほど大きな問題ではない」とコメント。「だが、そのようなことは新たなオーナーが評価を行うことになる」そのルノーでF1プロジェクトリーダーを務めるシリル・アビテブールは「現時点では、ロータスとの合意を成立させることに集中しているところだ」と語るに留めている。
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