桜井孝太郎が、10月13日〜15日にポルトガル、エストリル・サーキットで開催されたGP3合同テストに、2010年度ドライバー&チームランキング共にシリーズ2位の『ステイタスGP』から参加した。桜井孝太郎は、日本人最年少BMWスカラシップドライバーでヨーロッパを戦いの場として見据える16歳の若きサムライ。
GP3は、GP2へのステップアップカテゴリーとして2010年から始まった新しいシリーズ。ダラーラ製シャシー、ルノー製280馬力2リッター・ターボエンジン、ピレリタイヤのワンメイクレースとして、すべてのレースがF1グランプリのサポートイベントとして開催されている。2010年度のチャンピオンのエステバン・グティエレスは、すでに発表されているとおり、小林可夢偉が所属するザウバーのサード&テストドライバーへとステップアップを果たしている。今回は全10チーム、30台のマシンが3日間に渡って合同テストを実施。GP3のレギュラーメンバーに交じって、多くのF3ドライバーやフォーミュラ・ルノーのチャンピオン、フォーミュラBMWユーロシリーズのチャンピオンも参加。その強豪に交じって、桜井孝太郎は日本人唯一、そして最年少でのGP3テスト参加を果たした。桜井孝太郎ランキング2位のステイタスGPから声をかけていただいて、GP3のテストに参加できたことは、本当に光栄だと思っています。7月の夏休みにイギリスに渡って、3週間ほどフォーミュラ・フォード、フォーミュラBMWユーロシリーズ、イギリスF3、FIA-F2、そしてGP3を視察したのですが、その中で一番興味があったカテゴリーがGP3でした。初めて乗ったGP3のマシンは、フォーミュラBMWに比べて2倍近いパワーがあるので驚きましたし、ワールド・シリーズ・バイ・ルノーのマシンよりも強大なダウンフォースが出ていると聞いてびっくりしました。 初日はマシンとコースに慣れることに専念し、首の筋肉を痛めないように慎重に走りました。チームも16歳という僕の年齢を配慮してか、エンジニアやドライビングコーチを始め、全員がつきっきりで応援してくれました。初日はチームメイトのクリステンセン選手と約3秒差。2日目は2秒差、そして最終日は1秒差まで縮められました。チームの設定した目標タイムより1秒5以上速く走れたので、高い評価をいただきました。 GP3のマシンは、フォーミュラBMWに比べると、かなり荒っぽい言い方ですが、カートに近い感覚です。速い速度域からダウンフォースをしっかり効かせて、急激な減速と素早い姿勢変化でクィックにまわる感覚は、まるでカートそのものでした。ターボ・エンジンは想像していたものと違って、あるポイントから唐突にドカンとパワーが出てくるので戸惑いましたが、慣れれば大丈夫です。心配していた首は全然平気でしたが、むしろ肩や腕、胸といった筋肉への負荷がすごくて、上のカテゴリーを目指すのならば、もっともっとハードにトレーニングしなければと思いました。 来年に関しては、今回のテスト以外にも、ドイツF3やフォーミュラ・ルノー、フォーミュラ・アバルトのテストにお誘いを受けていますし、まだ白紙の状態です。これから、マネージャーとよく話し合って決めていきたいと思います。まずはその前に、目前に迫った初の母国レース、岡山国際サーキットでのフォーミュラBMWのレースで初勝利を目指して頑張りますので、応援よろしくお願いします。