小林可夢偉が、リタイアに終わったF1イタリアGPの週末を振り返った。昨年のF1イタリアGPで、小林可夢偉はスタート前にギアボックストラブルが発生してレースをすることなくリタイアしている。「僕たちのクルマは高速サーキットが得意じゃないんですけど、去年の予選はそこまで悪くはなかったんです。ただ、スタート前にグリッドに着こうとしたらギヤボックスが壊れて、レースをすることなくリタイアしていたので、今年はちゃんとレースをしたいなと思っていました」
高速サーキットが不得意とされるザウバーC30。チームは、高速でのスピードを稼ぐために低ダウンフォースセッティングを用意した。「今回の空力はかなり低ダウンフォース仕様でした。エキゾーストの部分が強くない分、トラクションでは確実に勝てないから、直線で出来るだけ頑張って稼ごうっていうのがチームの狙いでした。金曜日に走ってみるとそれが意外と悪くなくてびっくりしたんです。ただ実際には土日にならないとわからないクルマのバランスも、もう少しまとめなければならないし、ストレートが長いのでギアの選択もしっかりすることが大切でした」「DRSを使うときと使わないときでかなりブレーキングポイントが変わってくるので、それもけっこう難しかったですね。勘違いしちゃうんですよ。速度が違って、ブレーキングポイントが10メートル、20メートル簡単に変わってくる世界なので、そういう部分でも気をつける必要があったんですけどね」迎えた予選。小林可夢偉はQ2でブリスターを作ってしまい、17番で予選を終えた。「予選ではQ2のアタックラン中に、カートみたいに1コーナー入ってそれでちょっとブリスター出来たんです。リヤがロックするのは結構レアなんですけど、その時は空気の方が自分よりも早くて、スモークがもわ〜っと僕を追い抜くように流れてきて、不思議な感じでした(苦笑)」プライムタイヤでのロングスティントという戦略でスタートを迎えた小林可夢偉。だが、オープニングラップの1コーナーでHRTのヴィタントニオ・リウッツィがスピンして多重クラッシュ。マシンにダメージを負った小林可夢偉は戦略の変更を余儀なくされる。「ともかく予選は残念でしたけど、タイヤの持ち自体はブリスターが出るというくらいで、それ以外はあんまり特別な感じはなかったですね。レースは出来るだけスタートでポジションを上げられれば楽だけど、無理しないことも大事だと思うのでとりあえず確実に1コーナーを超えることが目標でした」「ただ、その1コーナーで多重クラッシュがあって、それを避けようとみんながブレーキを踏んで、僕もトロロッソに当たってフロントウイングが壊れたし、タイヤも削れてしまった。コース上に止まっているクルマを大回りして避けてなんとかピットに戻ってフロントウイングとタイヤを交換しました」「もともと1ストップ戦略でプライムタイヤでスタートしたんですけど、タイヤも壊してしまったので、まず中古のオプションを履いて、その次に新品のオプションを履く変則の2ストップに替えました」セーフティカー後、オプッションタイヤでポイント圏内まで順調にポジションをあげた小林可夢偉。しかし、そこでマシンにトラブルが発生した。「セーフティーカーランの後はポンポンっと順位を上げることができましたが、やはり中古のオプションだったので、そのセットは厳しかったですけど、新品のオプションに替えてからはタイヤセーブモードでチェッカーまで走るつもりでした。その時のポジションを考えるとポイントは獲れるだろうと思っていたら、突然パワーが伝わらなくなった。どのギヤに入れてもクルマが進まなくてコース脇に止めました」「去年もギヤボックストラブルで止まっているし、今回はチームメートも同じトラブルで止まったので、ちゃんと原因を究明しないといけないですね。すごく悔しいリタイアでしたが、気持ちを切り替えて次のシンガポールに向かいます」