レッドブル・レーシングは、2026年F1シーズンに向けて大きな岐路に立たされている。新レギュレーションに対応する新車RB22を、より安全でニュートラルな方向性に仕上げるのか。それとも、これまで通りマックス・フェルスタッペンのドライビング特性に寄せた開発を続け、セカンドドライバーには適応を求めるのか。その判断が目前に迫っている。
レッドブルは、2026年F1レギュレーション刷新に挑むマシンRB22を、1月15日にデトロイトで開催されるフォードのイベントで公開する予定だ。2022年のグラウンドエフェクト時代開幕当初は圧倒的な強さを誇ったが、2024年シーズン中盤以降、その優位性は徐々に失われていった。レッドブル・レーシングのマシンは、フェルスタッペンのドライビングスタイルに特化してチューニングされてきたと広く考えられている。元チームメイトのセルジオ・ペレスも、実質的にそれを認める発言を残している。フェルスタッペンはフロントエンドの鋭い挙動を好むが、レッドブルの設計はその特性を極限まで突き詰めたものだった。その結果、ピエール・ガスリー、アレクサンダー・アルボン、ペレス、リアム・ローソン、そして直近では角田裕毅が、その「繊細さ」に苦しめられてきた。しかし、この1年半で状況は大きく変わった。フェルスタッペンは4年連続でドライバーズタイトルを獲得したものの、2024年にはコンストラクターズタイトル3連覇を逃した。さらに2025年シーズン最終戦アブダビでは、ランド・ノリスにわずか2ポイント差でドライバーズタイトルを奪われ、マクラーレンがダブルタイトルを達成している。この結果を受け、レッドブルは2026年に向けて、両ドライバーを重視した開発を行うのか、それともセカンドシートに長年続く“呪い”を、新加入のアイザック・ハジャーに託すのか、決断を迫られている。「適応力」への自信を示すハジャーアイザック・ハジャーは、2025年にレーシングブルズでF1ルーキーとしてブレイクを果たした。21歳にしてザントフォールトで表彰台に立つなど、その才能を強く印象づけている。多くの関係者は、レッドブルが従来と同様の開発路線を選んだ場合でも、ハジャーならRB22の特性に対応できると見ている。何より、本人がその点に強い自信を示している。「自分は適応するのが得意だと思っているし、正直かなり自信がある」とハジャーは語る。「来年はまったく同じクルマじゃない。チームが作ったクルマに僕が適応するし、マックスも同じことをしなければならない。クルマがどちらかの方向に進むなら、少なくとも僕はその変化を感じ取れるし、理想的にはその変化に貢献できればいい」さらにハジャーは、これまで同じマシンで2年連続戦った経験がない点を、自身の強みとして捉えている。「毎年違うクルマでレースをしてきた。同じことを2年続ける感覚を知らないからこそ、適応力には自信がある。だからこそ、前向きに考えている」2026年という新時代を迎えるF1において、レッドブルがどの開発方針を選ぶのか。その鍵を握る存在として、ハジャーの「適応力」がこれまで以上に注目されている。