F1デビューからわずかシーズン3分の1で、アイザック・ハジャーはレッドブル・レーシングへの昇格が確実視される存在となっている。今季序盤、リアム・ローソンはレーシングブルズから昇格し、マックス・フェルスタッペンの新たなチームメイトとして自信満々でレッドブル本隊に加わった。しかし、その2戦での短命な挑戦はすでに周知の通り。一方で、現在レーシングブルズに所属する20歳のハジャーは、ローソンの5倍以上のポイントを獲得している。
ただし、本人は周囲の評価にあまり耳を傾けていないという。「自分が良い走りをしてるとか、悪いとか、あまり聞かないんだ」とハジャーはスペインの『El Mundo Deportivo』紙に語った。「誰かが『いい仕事をしたね』って言ってくれたら、僕は『ありがとう』って返すだけ。それ以上のことはない。どんなコメントをもらっても、それで速くなったりはしないから」とはいえ、レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表のような人物からの称賛は、さすがに心に響いているだろう。ホーナーは『Canal Plus』に対し、「今年のルーキーの中で最も印象的だ」と述べ、「ここまでのところ、我々の期待をすべて上回っている」と賛辞を送っている。ドライバー起用の鍵を握るヘルムート・マルコも同様に高く評価しており、とりわけカルロス・サインツJr.やルイス・ハミルトンのような実績あるドライバーですら、2025年の新天地では苦戦している点に触れている。身近な存在では角田裕毅がレッドブル・レーシングで輝きを失っている。ハジャー自身も「自分はすぐに順応できた」と認める。「そうなると思っていたし、だからこそF1に来たんだ。僕たちはF1ドライバーだからね。今のルーキーはみんな順応が速いと思う。レベルの高いF3やF2でしっかり学んできたからだと思う」しかし、なぜ自分はうまくいっていて、サインツJr.やハミルトンは苦しんでいるのかと問われると、こう説明する。「彼らは長い間同じマシンに乗っていて、習慣が染みついているからだと思う。僕にはそういう“習慣”がない。去年はF2、その前はF3と、常に環境が変わっていたから、ずっと適応し続けてきた。だから何も染みついていない。習慣を持つことって、ドライバーにとっては最悪なんだよね」今もなおレーシングブルズのマシンで走るたびに、新鮮な驚きを感じているという。「F2では、そのうち慣れて普通になってしまう。でもF1はいつだって圧倒的なんだ。『自由』っていうより…もっと“怖さ”がある。本当にすごい世界だよ」すでに頭角を現しつつあるハジャーのトップチーム昇格は時間の問題だと見られているが、その速さに加えて“頭脳”の面でも注目されている。彼のヘルメットには、数学や物理の方程式が描かれていることでも知られている。「もともとF1ドライバーになるなんて思ってなかった」と本人は語る。「どうしてこうなったのか、正直わからない。もともとは学校に進んで、物理とか工学とかを学ぶつもりだったと思う。だけど最終的にF1に辿り着いた。「小さい頃から車が大好きで、いつもカートに乗りたがってた。家族が僕の無謀な夢を応援してくれて、それが始まりだったんだ」
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