昨年のインディカー・シリーズのチャンピオンで、通算5回のチャンピオンに輝いているスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)が、デトロイトでのダブルヘッダーのレース2で優勝を飾った。ディクソンは今シーズン初勝利、キャリア通算45勝目。昨日のレース1では終盤にアクシデントを起こしてリタイア。今日のレース2でのディクソンは、望みうる最高の結果をだした。
レースはスタート直後、ターン3で多重アクシデントが発生し、多くのドライバーがピットに向かった。ソフトタイヤよりもパフォーマンスが高いハードタイヤにスイッチするのが有利と考えたためだ。しかし、ここでディクソンはライバルたちとは逆にコース上に残ったことで一気にトップに躍り出た。この決断はギャンブルともいえたが、最終的に大きな成功につながった。ディクソンはレース中最多の44周をリードして勝利し、53ポイントを稼いだ。F1の世界からインディカーへと渡り、ルーキーとして戦うスウェーデン出身のマーカス・エリクソン(Arrow Schmidt Peterson Motorsports)は、自己ベストとなる2位フィニッシュを飾った。序盤にピットストップを行った中で、コンスタントに早いラップを記録し続けていたエリクソンは、12番手スタートからレース中盤で2番手にまでポジションアップ。終盤にトップに立ったディクソンに食らいつくことはできなかったが、元チャンピオンのウィル・パワー(シボレー)の接近を許さず、初めての表彰台に上がった。Hondaドライバーは今日のレースでトップ10のうちの9人を占めた。Andretti Autosportのライアン・ハンターレイ、アレクサンダー・ロッシ、マルコ・アンドレッティが4~6位でゴール。ベテランのハンターレイは、ゴール前のバトルでタイヤの空気圧低下が起こったが、最後までポジションを明け渡すことなく走りきった。佐藤琢磨(Rahal Letterman Lanigan Racing)は、16番手スタートから一時は3番手にまで浮上。インディ500からの3戦連続トップ3がなるかと思われたが、終盤のバトルでライバルと接触。タイヤを傷めてしまったが、最後のリスタートで奮闘。後方集団の2台をパスし13位でゴールした。スコット・ディクソン (優勝)「昨年に続いてデトロイトで優勝することができ、とても喜んでいます。今年もシーズン初勝利を挙げることができたので、ここからはさらに全力を投じて戦っていくのみです。Hondaのためにもチームのためにも、今日こうして勝てたことはうれしいですね。今日のレースでは、フルコースコーションの間にタイヤの温度を高く保つのが大変でした。そして、それが勝利につながる非常に大きなポイントになっていたと思います。難しいレースでした。昨日のレース1で、私は終盤のアクシデントでリタイアしました。タイヤバリアに激突したことで、今日も頭痛があったし、手首にも痛みが残ったままレースに臨むこととなりました。しかし、私は今日のレース2でマシンの限界を保って走り続け、チームは作戦を駆使して、それを勝利につなげられました」佐藤琢磨 (13位)「昨日はウエットコンディションでの速さによって3位フィニッシュができました。今日はドライでの戦いになることがわかっていて、自分たちとしては1ラップにつき1秒速く走れるマシンのセッティングを求め、予選で新しいトライを行いました。予選順位は昨日より後方の16番手。レース序盤は、自分が考えた通りのスピードで走れていませんでしたが、それが昨晩の雨でグリップの落ちた路面によるものなのか、自分たちのマシンセッティングがコンディションに合っていないからなのか、見極めるのが難しい状況でした。しかし、路面のグリップが上がって来ると、決して悪くないフィーリングを得ることができました。ただ、ラップタイムの上ではまだ十分な競争力があると思っていませんでした。展開を味方につけてトップ5に浮上し、更には3番手に上がって、そのポジションで長く戦うことができていました。あのまま上位でフィニッシュしたかったですし、それができると思っていました。しかし、ピット作業に時間がかかったり、ライバルとの接触でタイヤがパンクしたことで大きく順位を落としました。最後のリスタートの後に2台をパスできたのはよかったと思います。しかし、13位という結果は非常に悔しいものです」