ホンダの2026年F1プロジェクトは厳しいスタートとなった。しかし、かつて同社がどん底から頂点へ這い上がる過程を見届けたフランツ・トストは、その復活を疑っていない。マクラーレンとの苦闘、トロロッソでの再建、そしてレッドブルとの世界制覇。ホンダの歩みを間近で見てきた元トロロッソ代表は、「遅くとも2027年までに問題を解決する」と断言した。
苦境から頂点へ駆け上がったホンダ現在の苦戦だけを見れば、ホンダの新プロジェクトに厳しい視線が向けられるのも無理はない。だが、ホンダは過去にも同じような逆風を経験している。2015年にマクラーレンとのワークス体制でF1へ復帰したホンダは、深刻な信頼性不足とパフォーマンス不足に苦しんだ。パドックでは厳しい批判を浴び、F1参戦そのものを疑問視する声も少なくなかった。それでもホンダは開発を止めなかった。改善を重ねた末に転機となったのが、2018年から始まったトロロッソとの提携だった。トロロッソ時代に見せた改善力当時チームを率いていたのがフランツ・トストである。トロロッソはホンダにとって実戦開発の重要な拠点となり、レースを重ねるごとにパワーユニットは競争力を高めていった。トストはその過程で、ホンダが問題に直面した際の姿勢を目の当たりにしている。課題が見つかれば原因を徹底的に分析し、改良を積み重ねる。その積み重ねが、後の成功につながった。レッドブルとの成功が証明したもの2019年からホンダはレッドブルとの提携を開始した。当初はトップ争いが可能かどうか疑問視する声もあったが、ホンダは着実に性能を向上させていく。やがてマックス・フェルスタッペンのタイトル獲得を支えるパワーユニットへと成長し、世界選手権の頂点に立つまでになった。トストは、その変化を最も近くで見てきた関係者の一人だった。「私は日本人を知っている」だからこそ、現在の状況についても悲観していない。トストは、現在のホンダ製パワーユニットが期待されたレベルに達していないことを認めながらも、問題解決は時間の問題だと考えている。「彼らは期待していたようには機能していないパワーユニットを作ってしまった。しかし私は日本人を知っている。遅くとも来年には問題を解決すると確信している」この言葉の背景には、ホンダの技術力だけでなく組織としての粘り強さへの信頼がある。ホンダの歴史が支える2027年への期待ホンダのF1活動は、常に順風満帆だったわけではない。しかし過去には、厳しい批判を受けながらも改善を続け、最終的に世界王者へと上り詰めた実績がある。トストが「遅くとも2027年までに問題を解決する」と語るのは、その歴史を知っているからだ。現在の苦戦はホンダにとって新たな試練かもしれない。しかしトストの見方では、それはかつて乗り越えてきた困難の延長線上にある。ホンダが再び競争力を取り戻せるのか。その答えを知るにはまだ時間が必要だが、少なくともトストは過去の経験から、その復活を強く信じている。