ホンダの八郷隆弘社長は、8月にF1撤退の意向をレッドブル側に伝え、9月に実際に決断したと述べた。10月2日(金)、ホンダは2021年シーズン限りでF1から撤退することを発表。ホンダの八郷隆弘社長でオンラインで会見を開いた。「今回の参戦終了に関することについてですけども、昨年の(レッドブルとの)1年延長を決めた時からいろいろなことを考えてまいりました」と八郷隆弘社長は語った。
「そして、8月にレッドブルに我々の考えを伝えて、最終的に終了を決定したのは先月9月末のことになります」F1撤退は決して新型コロナウイルスの影響ではないと八郷隆弘社長は語る。「そして、今回終了したのは短期的な収益というより、我々、2050年に向けてカーボンフリー『カーボンニュートラルの目標』を掲げて、そこに達成するための2030年での4輪の販売の3分の2を電動化するということをさらに加速をさせていくために、経営のリソース、特に技術者のリソースをそこに傾けようということで、今回の参戦終了を決定いたしましたので、収益というかコロナの影響ということではなくて、将来を見据えた技術者のリソースということだという風に考えて頂ければと思います」「今回は2050年カーボニュートラルへの実現という新たなチャレンジにリソースを傾けるということで判断しましたので、再参戦のことは考えておりません。ただ、レースはホンダのDNAですので、現在参戦しているレースにつきましては継続して、しっかりと熱い情熱を持ってそこに参加をしていきたいと考えております」カーボンニュートラル? レース活動はホンダのDNA?それでも、ホンダのF1撤退は残念でならない。レッドブルも2022年のレギュレーション変更でいよいよタイトルに挑戦できると考えていたはずだ。ホンダの意向を理解・尊重し、感謝しているとのコメントは建前にしか聞こえない。カーボンニュートラルは、メルセデスやルノーも取り組んでいることであり、すっと心に落ちてくる説明ではない。F1は2030年、メルセデスは2039年までに完全なカーボンニュートラルを目指している。だが、ホンダは2050年だ。それならば、“新型コロナウイルスによって業績が悪化した”とでも言われた方が納得ができた。「F1では、優勝という目標を達成でき、一定の成果を得ることができました」という八郷隆弘社長の発言も響かない。目標はワールドチャンピオン獲得ではなかったのか。8年間で1勝しか挙げられなかった第3期よりはいいものの、6年間で5勝を挙げた段階で、再び7年で撤退を決意するというのはあまりにコミットメントが欠けているのではないか。F1からの撤退は、ホンダの若手ドライバーにも痛手だ。レッドブルとジュニアドライバー契約を結んでいる角田裕毅は2021年にアルファタウリに乗れるかもしれないが、レッドブル側の本音が見えるのは2022年だ。また、F1で働くことを夢見てホンダに入社したエンニジアもいるだろう。『レース活動はホンダのDNAです』モータースポーツの最高峰でタイトルを獲得することなく撤退を決意する会社の発言には聞こえない。関連:ホンダ 八郷隆弘社長、F1撤退にコメント「一定の成果を得ることができた」
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