ホンダF1は、積極的なF1エンジン開発によって今シーズン競争力を増しているが、シーズン後半にむけて新品エンジン投入のタイミングでジレンマに陥っている。昨年、トロロッソとともに結果を度外視して今季のレッドブルとの提携にむけてF1エンジンの開発を進めたことで、今季のホンダのF1エンジンは信頼性トラブルが発生しないだけではなく、メルセデスやフェラーリと戦うことができる競争力をつけている。
開幕戦でマックス・フェルスタッペンが3位表彰台を獲得したホンダF1は、第4戦アゼルバイジャンGPで‟スペック3”、第8戦フランスGPで‟スペック3”エンジンを投入。第9戦オーストリアGPではレッドブル・ホンダとして初勝利、第11戦ドイツGPでは2勝目、そして、第12戦ハンガリーGPではフェルスタッペンがF1初ポールポジションを獲得している。ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治は、それらの結果は他のパワーユニットとの差が縮まっている表れだと語る。「通常、レースの状況では、コンディション、接触、タイヤ管理、ピットストップ戦略、そして、レース中の全体的な競争力など多くの変化があります。今年はこれまで2つの勝利を収めており、それは素晴らしいことです。そして、ポールポジションはわずかに異なる成果です。それはスピードを表していますからね」「もちろん、予選中にも何らかの状況はありますが、レースとは少し違うので、ある程度のスピードを見せることができます。今年を振り返ってみると、メルセデスとフェラーリとは大きなギャップがありました。近づいていましたが、ハンガリーでポールポジションを獲得できるとは思っていませんでした。近づいていることはわかっていましたが、まだギャップはあります。マックスとチームが素晴らしい仕事をして、ポールポジションを獲得することができました。これは、パフォーマンス改善の開発にとってまた新たな強い影響を与えてくれます」そして、ホンダF1はすでに3回目のエンジンアップデートとなる“スペック4”投入の準備を整えており、次のエンジン交換がスペック4投入のタイミングとなる。だが、すでにレッドブル・ホンダのドライバーは全てのパワーユニットコンポーネントが年間使用制限を超えており、次のエンジン交換ではグリッド降格ペナルティを科せられることになる。今季はドライバーあたり3基までF1エンジンを使用でき、各エンジンメーカーは7戦を戦える耐久性を見据えてエンジンを設計しており、論理的には第15戦シンガポールGPが最後のエンジン交換のタイミングとなる。しかし、レッドブルは歴史的にシンガポールGPを得意としており、ホンダとしては鈴鹿サーキットでの第17戦日本GPがホームレースとなるため、両グランプリではグリッド降格ペナルティは避けたいと考えている。夏休み明けにその両グランプリの前に開催される第13戦F1ベルギーGPと第14戦F1イタリアGPは、比較的オーバーテイクが可能なサーキットとなっているため、レッドブル・ホンダにとっては理想的なエンジン交換のタイミングとなるが、シーズン終了までそのエンジンを使用する場合は8~9戦の耐久性が要求される。仮にそれが可能だったとしてもマイレージによってパフォーマンスの低下は免れない。ホンダF1のテクニカルディレクターを務める「我々は常にチームと話し合っており、新しいエンジンもしくはアップデート版をいつ適用するかを決定していきます。現時点ではまだ決定は行われていません。状況とタイミング、およびチームとの話し合いの結果によって異なってきます。非常に複雑です」とコメント。「長期計画と短期計画の2種類の計画があります。レース後、PUのコンディションなど状況を確認しますが、短期的なものとしては2~3レース、長期的なものとしてはシーズンの終わりまでを意味します。非常に複雑です」
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