TGRハースF1チームは、富士スピードウェイで実施したTPC(Testing of Previous Cars)にあわせて、そのプログラムの目的や舞台裏を紹介する動画を公開した。TPCはFIA(国際自動車連盟)の規則で認められた旧型F1マシンによるテストであり、ドライバー育成だけでなく、エンジニアやメカニックなどチームスタッフの育成も担う重要なプログラムとなっている。
TPCとは何か?F1ではテストが厳しく制限されており、グランプリ週末以外で現行マシンを走らせる機会はほとんどない。そのためFIAは、原則として2年以上前のマシンを使用した「Testing of Previous Cars(TPC)」を認めている。ただし2026年はレギュレーションが全面刷新されたため、2025年型マシンも「旧型車」と見なされ、ハースはVF-25を使用してテストを実施できる。TGRハースF1チームは2025年にTOYOTA GAZOO Racingとの協力による「TGRハース・ドライバー育成プログラム」を立ち上げ、このTPCを本格的に開始した。ドライバーだけでなくチーム全体を育成プログラム責任者は、TPCの目的は単なるドライバー育成ではないと説明する。「このプログラムはトヨタとの協力から生まれた。トヨタが支援する日本人ドライバーを育成したいという思いがあり、それがスタートだった」「今年は昨年型マシンを使えるようになり、ドライバー育成プログラムもさらに充実した。事前にシミュレーターを行い、各ドライバーに合わせたカリキュラムを用意し、習得してほしいスキルに応じて走行プランを組み立てている」一方で、チームにとって同じくらい重要なのがスタッフ育成だという。「レース週末のプレッシャーから離れて人材を育成できる貴重な機会だ。若いエンジニアやメカニック、新しい役割に挑戦するスタッフが参加している。ドライバーだけでなくチーム全体を成長させることができる」また、トヨタから派遣されたエンジニアやメカニックも現場でハースのスタッフとともに活動しており、両者の協力体制が強化されている。若手スタッフの実践的な育成の場TPCでは若手メカニックが通常のレースでは担当しない作業も経験できる。あるメカニックは「フロントやリアなど車両全体を経験することで、レースチームに昇格した際も様々な役割に対応できるようになる」と説明。別のスタッフも「レース週末ほどのプレッシャーがない環境で実車を扱えることが大きい」と語っている。2025年にTPCからレースチームへ昇格したメカニックは、その経験が大きな助けになったという。「TPCで1年間経験を積んでいたので、レースチームへ移っても何が起きるか分かっていた。自分の担当だけでなく他の役割も学べるので、チーム全体でより価値のある存在になれる」「仕事の基本は同じだが、違うのはプレッシャーと環境だ。その環境に入る前にTPCで経験できたことで、レースチームへの移行はずっとスムーズになった」1年前から始まる準備TPCイベントの準備は約1年前から始まる。チームはトヨタと協議して開催サーキットを選定し、各サーキットと日程を調整。FIAのテスト規則を考慮しながら、輸送や機材搬入も自前で手配する。担当者は「サーキットを丸1日借り切るため、自分たちのペースで運営できる。レース週末ほど時間的な制約がないので、新人スタッフやドライバーにとって理想的なトレーニング環境になっている」と説明する。目標はF1レースシート輩出ハースとトヨタは、このプログラムを通じてドライバーだけでなく技術者の育成も進めている。すでにTPCを経験したトヨタの技術者やメカニックがハースのレースチームへ昇格しており、成果も現れ始めている。チームは最終的な目標について「究極の目標は、このプログラムからF1レースドライバーを輩出することだ。ただし、それは実力主義であり、適切なタイミングとチャンスが必要になる。いつ実現するかは分からないが、いつかそこへ到達できるかもしれない」と期待を寄せている。
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