メルセデスF1のジョージ・ラッセルに対し、アストンマーティンが2026年の起用に関心を示していると報じられている。ウィリアムズからメルセデスに加入して以降3年目を迎えるラッセルは、現在の契約の残り期間が6カ月を切っており、今後の去就が注目されている。
一方で、F1界では2026年に向けたドライバー市場の動きが活発化しており、メルセデスが現レッドブルF1の4度のワールドチャンピオン、マックス・フェルスタッペンを狙っているとの噂も根強く存在している。ラッセル自身は「メルセデスとの契約延長に前向き」だと語っているが、2025年序盤から他チームとも接触している兆しが見られている。今年3月の開幕戦オーストラリアGPでは、マクラーレンF1のザク・ブラウンCEOとアンドレア・ステラ代表がラッセルとパドックで公の場で話し込む様子が目撃された。マクラーレンはランド・ノリスとオスカー・ピアストリを長期契約下に置いているものの、その場面は注目を集めた。続く中国GPでは、ラッセルがアルピーヌF1のエグゼクティブアドバイザー、フラビオ・ブリアトーレと親しげに抱擁を交わす様子が報じられた。さらに4月には、ラッセルがレッドブルF1のクリスチャン・ホーナー代表と2026年に向けた交渉を開始したとの報道も浮上。ホーナーは2023年のシンガポールGPで「ラッセルのようなドライバーを無視するのは愚か」と語っており、関心の高さがうかがえる。そして今回『The Times』紙の報道によれば、新たにアストンマーティンがラッセル獲得に興味を示しているという。関係者の話として「アストンマーティンは関心を示しているチームのひとつ」とされている。アストンマーティンは現在、2025年のF1コンストラクターズランキングで9位に甘んじているが、2026年のホンダとのワークスパートナー契約を控え、今後の飛躍が期待されている。しかも、同チームでは今年からF1史上最も成功したエンジニアであるエイドリアン・ニューウェイが「マネージング・テクニカル・パートナー」として加入。26回の世界タイトルと200勝以上の勝利に関わった伝説的存在の彼が、2026年マシンの開発に着手している。ニューウェイは先日のモナコGPでアストンマーティンのパドックに姿を現し、マクラーレンのピアストリ車を熱心に観察する姿も報じられた。なおラッセルは、F1デビュー前の2017年に当時のフォースインディア(現アストンマーティン)でブラジルGPとアブダビGPのFP1走行を経験しており、かつて同チームと関わりがあった。今季序盤には、アストンマーティンがフェルスタッペンに3億ドル(約470億円)規模のオファーを提示したとの報道もあったが、同チームはこれを否定している。今回の報道を受けてアストンマーティンはPlanetF1.comに対し、次のような声明を出している。「メディアがドライバー市場を巡って様々な憶測を報じるのは当然だが、我々は素晴らしいドライバーラインナップに満足しており、彼らとは2026年以降も契約を結んでいる。今の焦点は、より一貫性があり競争力のあるマシンを提供することであり、それが実現すれば2人とも優れた結果を出せると確信している」ラッセルにとっては、あくまでメルセデス残留が第一の選択肢だと考えられている。2026年の新レギュレーションに向けて、メルセデスは他チームに先んじて準備を進めているとの見方もある。2024年のバーレーンGP開催週には、「2026年パワーユニット開発が順調なのは1社だけ」とも報じられており、他メーカーの苦戦が指摘されていた。2014年のレギュレーション変更時、メルセデスはこのアドバンテージを生かして8年連続コンストラクターズタイトルを獲得した経緯がある。モナコGPでメディアに語ったメルセデス代表トト・ヴォルフは、「ラッセルと我々の将来計画に関しては完全に一致している」と述べ、契約更新も遠くない可能性を示唆した。「9月まで待つ必要はまったくない。ジョージと私は、すべてがどう進むかについて完全に一致している」とヴォルフは強調している。