マクラーレンは、すでに撤退したフォーミュラEで思わぬ後日談に直面した。FIA(国際自動車連盟)は、2024/25シーズンのフォーミュラEにおけるコストキャップ違反を認定し、マクラーレンに40万ユーロ(約6500万円)の罰金を科した。マクラーレンは2024/25シーズン終了後、リソースをF1、インディカー、そして2027年のWEC(世界耐久選手権)ハイパーカープロジェクトに集中させるため、フォーミュラEから撤退していた。しかし、撤退後の監査によって最終シーズンの支出が上限を超えていたことが明らかになった。
コスト上限を約55万ポンド超過FIAの調査によると、マクラーレンはフォーミュラEの支出上限を4.54%超過していた。金額にして約55万5628ポンドに相当する。この超過は、チームが提出した財務資料に対する詳細な監査によって発覚した。なお、このシーズンにはテイラー・バーナードが5回の表彰台を獲得している。ただし、FIAは今回の超過支出が競争上の優位性を得るためのものではなかったと結論付けた。超過分の大半は、フォーミュラE撤退決定後に発生したチーム閉鎖・整理に伴う費用によるものだったという。自主申告と全面協力をFIAが評価今回のケースで重要だったのは、マクラーレンが正式な調査開始前に自主的に超過支出を申告していた点だ。FIAは報告書の中で、マクラーレンがコストキャップ管理部門に対して「自主的に通知した」と説明。また、「調査の全過程を通じて協力的かつ完全な透明性をもって対応した」と評価した。さらにFIAは、超過支出について「選手権撤退決定後の秩序ある事業終了に伴う費用が主な要因だった」と認定している。加えて、「悪化要因を示す証拠や指摘は存在しない」とし、マクラーレンが不誠実な行為を行った形跡はなかったと結論付けた。その結果、両者は2026年6月1日に「Accepted Breach Agreement(違反受諾合意)」に署名し、マクラーレンは40万ユーロの罰金支払いを受け入れた。撤退後も続いたフォーミュラEとの関係今回の一件は、マクラーレンのフォーミュラE参戦の最終章としては異例の結末となった。チームはすでに電動シリーズを離れ、新たなプロジェクトへと舵を切っている。しかしFIAの財務監査は、最後にもう一度マクラーレンを呼び戻すことになった。競争上の利益を目的とした違反ではなかったこと、自主申告だったこと、そして全面的な協力姿勢が認められたことでスポーツ面の制裁は科されなかった。それでも、コストキャップ時代において財務規律がいかに厳格に運用されているかを示す事例となった。