FIA会長モハメド・ビン・スライエムが「実現する」と発言したことで、F1におけるV8エンジン復活論が一気に現実味を帯び始めている。これまで慎重姿勢だったメーカー勢からも前向きな声が相次ぎ、2026年F1レギュレーション導入前にもかかわらず、すでに“次の次”のパワーユニット論争が動き始めた。特に注目されるのは、アメリカ勢の明確な支持だ。キャデラックF1として参戦するゼネラルモーターズ、そしてレッドブルと組むフォードの双方が、V8復活に好意的な姿勢を公に示している。
フォードとGMがV8支持を明言デトロイト・ニュース紙に対し、フォードのレーシング部門責任者マーク・ラッシュブルックは次のように語った。「FIAとF1がすでに次のレギュレーションについて議論しているのを見るのは素晴らしいことだ」「我々はこのスポーツのステークホルダーであり、自分たちの見解を共有していく」「当然ながら、多くの自然吸気V8を生産している企業として、ここでV8を見たいと思っている」キャデラックF1の母体となるGMの社長マーク・ロイスも、同様の立場を示した。「私はV8とそのサウンドが大好きだ」「ただ、V6ハイブリッドに多額の投資をしてきたメーカーへの敬意も持っている」「だからF1、FIA、そしてチームが“V8へ行く”と決めるなら、我々は準備ができている」メルセデスF1も容認姿勢パドック内部でも流れは変わりつつある。メルセデスF1代表のトト・ヴォルフは、V8回帰に対してオープンな立場を示した。「我々は新しいエンジンレギュレーションに対してオープンだ」「V8エンジンには良い思い出しかないし、我々にとっては“真のメルセデスエンジン”だった」その一方で、完全な自然吸気回帰には慎重な姿勢も見せている。「もし突然、自然吸気エンジンへ完全回帰するなら、少し時代遅れに見えるかもしれない」「おそらく内燃エンジンで800馬力、そこに電動パワー400馬力を組み合わせる形が考えられる」これは現在の“電動50%時代”から完全に逆戻りするのではなく、V8+高出力ハイブリッドという折衷案を示唆した発言とも受け取れる。レッドブルF1も賛成 フェラーリはコスト削減重視新PUプロジェクトに巨額投資を続けるレッドブル・フォード・パワートレインズも、この議論に前向きだ。ローラン・メキースは次のように語った。「レッドブル・フォード・パワートレインズは、このアイデアにかなりオープンだ」「我々はこの世代のパワートレインをゼロから開発しなければならなかった。同時に、新たな挑戦には興奮している」一方、フェラーリF1代表のフレデリック・バスールは、技術思想よりもコスト面を問題視している。「異常なほど膨れ上がったエンジン予算を削減することが極めて重要だ」“2031年V8回帰”は現実路線になりつつある今回の発言群が示しているのは、V8復活論がもはや“懐古主義”ではなく、現実的な政治テーマになっているという点だ。FIAはすでに2031年を視野に、より軽量・低コスト・高音量なエンジンへの移行を検討しているとされる。さらに一部では、2026年F1レギュレーションの複雑さやコスト増への不満から、「もっと早い段階で方向転換が起きる可能性」まで囁かれ始めている。特に今回、メルセデス、フォード、GMという大手メーカーが相次いで肯定的な姿勢を示したことで、“V8復活”は単なるファン向けの理想論から、一気に現実味を帯び始めた。
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