FIAは、予選専用の特別なエンジンマッピングの使用を禁止する方向に動いており、今週末のF1ヨーロッパGPでF1チームはさらに厳しい規制を受けることになるようだ。来月のF1イギリスGPからオフスロットル時のブロウン・ディフューザーの使用が禁止されるが、FIAは空力パフォーマンスを助ける巧妙なエンジンの使用をすべて禁止するという固い決意を示している。
F1技術代表を務めるチャーリー・ホワイティングは、予選と決勝の間でエンジンマップを変更できなくなるとチーム側に伝えた。これにより、事実上F1チームは、予選でより多くの排気ガスを吹き付けたり、燃料を多く燃やすような極端なエンジンマップを使い、決勝レースでは安全なセッティングに戻すといったようなことができなくなる。今年、レッドブル・レーシングがレースではそれほど速くないものの予選では圧倒的な速さをみせている理由として、予選では一発のパフォーマンスを高めるために極端なエンジンマップを使っているという理論がある。マクラーレンのレースエンジニアを務めるフィル・プリューは今年初め、レッドブル・レーシングの好調に関するマクラーレンの理論として「タイヤの最適化がひとつのエリアだと思う。そしてもうひとつは、排気流によってかなり大きなダウンフォースを発生させる巧妙なエンジンモードの利用だろう」と述べていた。FIAからの新しい指令により、レースのスタートでは予選で使用していたエンジンマッピングのセッティングを使用しなければならないことになる。そのため、理論的にエンジンマッピングを変更する最初のチャンスは、コンピュータをマシンに接続できる最初のピットストップとなるが、そのような行為は現在のピットストップの速さを考えるとかなり非実用的である。一部チームが予選で使用しているとされる極端なエンジンマップは、長距離でのエンジン信頼性を危険にさらし、より多くの燃料を消費するのためレースでは使用できない。今後2戦で課せられる規約変更は全チームに影響を及ぼすが、ペースセッターであるレッドブル・レーシングに与える影響に最も注目が集まることになる。フェラーリのチーム代表ステファノ・ドメニカリは、規約改訂がシーズン後半の勢力図を完全に塗り替える可能性があると述べた。「我々は、実際にエキゾーストの効果に関するレギュレーションの変更がどのような影響を与えるか様子をみてみる必要がある」「そのあとのよりダウンフォースの高いトラックで、実際のパフォーマンスレベルに関するチャンピオンシップ後半の位置がわかってくるだろう」