スクーデリア・フェラーリは、2026年F1シーズン序盤で際立っていた抜群のスタート性能を一部犠牲にする可能性がある。チームは発進加速で大きな強みを見せてきた一方、その要因となっているターボ設計が最高速面で足かせになっていることをデータ上で確認した。冬季テストでデビッド・クロフトがフェラーリのマシンを「ロケットランチャー」と表現したように、フェラーリは開幕からスプリントを含めてオープニングラップで合計21ポジションを上げている。
これはウィリアムズの22ポジションに次ぐ数字だが、ウィリアムズはより後方からスタートする機会が多いという事情もある。小径ターボが生んだ発進加速と最高速不足フェラーリの好スタートは偶然ではなく、意図的な設計選択によるものだ。モータースポーツ・イタリアによれば、フェラーリはレッドブルやメルセデスの設計より直径が約10mm小さいターボチャージャーを採用している。この小径ターボは、グリッド上での準備に必要な負荷を抑え、発進時のレスポンスを高める。また低回転域でのバッテリー充電にも有利に働く。しかし、その代償も明確になってきた。フェラーリはデータ上、高回転域で約7馬力を失っていることを確認しており、それが最高速不足につながっている。加速を削ってでもストレートでの損失を減らす判断フェラーリは今後のエンジン開発において、このターボを「見直す」可能性がある。完全に小径設計を捨てるわけではないが、加速面の優位を少し手放すことで、ストレート全体で失うタイムを減らす方向に進むとみられる。これは、単なるパワー不足ではなく、2026年F1パワーユニット特有のエネルギー配分とターボ設計の妥協点をどこに置くかという問題だ。フェラーリはスタートで順位を稼げる一方、レース中の最高速不足によって守勢に回る場面が増えている。ハミルトンも指摘したストレート不足マイアミGP後、6位でフィニッシュしたルイス・ハミルトンも、フェラーリのストレート不足に言及した。「楽しみにしているけど、次のレースまでにドラッグを少し削れるか見ていく必要がある。ストレートで僕たちにはその不足があるから、そこを調べなければならない」ハミルトンはレース中にもパワー不足を繰り返し訴えていた。ただし、その原因は内燃エンジンそのものというより、バッテリーやエネルギー使用に関連していた可能性が高い。次戦カナダGPは、カレンダーの中でもパワー依存度が高いサーキットのひとつだ。フェラーリにとっては、発進加速という武器を維持するのか、それとも最高速とレース全体の効率を優先するのか、その設計思想が改めて問われる週末になる。