2025年シーズン終盤、フェラーリ移籍1年目のルイス・ハミルトンは依然として表彰台から遠ざかっている。サンパウロGPではフランコ・コラピントとの接触でリタイアを喫し、21戦連続でフェラーリ初表彰台を逃す結果となった。そんななか、元F1ドライバーのフアン・パブロ・モントーヤが、フェラーリとハミルトンの間に「深刻なコミュニケーション問題がある」と指摘した。
モントーヤは、かつてBMWウィリアムズやマクラーレンで7勝を挙げたコロンビア出身の元ドライバー。PokerStrategyのインタビューでフェラーリへの批判を口にした。「ルイス・ハミルトンには証明すべきものがある。彼は決して諦めないタイプだ。タイトルを取るか、散るかのどちらかだろう。来年の新世代マシンで全力を尽くすはずだ」とモントーヤは語る。さらに彼は、ハミルトンの現在の苦境についてこう説明した。「ハミルトンのフラストレーションは、自分がチームのために多くを犠牲にしているのに、フェラーリ側が同じだけの努力をしていないと感じているからだと思う。彼はチームを動かそうと全力で頑張っているのに、十分なサポートを受けられていない」「ハミルトンに正しい手段を与えれば、必ず最前線で戦える。モチベーションが戻れば、彼はほとんど無敵になる。彼は簡単には引退しないだろう。自分の目標を達成できないまま終わることなど望んでいない」そして、チームとの関係についても厳しい見方を示した。「自分がチームのために多くを注いでいるのに、そのエネルギーが返ってこないとき、それはただただフラストレーションだ。フェラーリはハミルトンの声に耳を傾けていない」モントーヤはまた、チームメイトのシャルル・ルクレールにも状況が好転していないと指摘する。「ルクレールにとってもこのマシンは良くなっていない。フェラーリのエンジニアたちがハミルトンの改善提案を迅速に取り入れれば、長期的に見てチーム全体の利益になるはずだ」そしてフェラーリの競争力についても疑問を呈した。「なぜ皆がフェラーリが強いと期待したのか、理解できない。何年も平凡なマシンしか作れていないし、何も変わっていない。来年は新しいチャンスかもしれないが、それでも競争力がなければ──ルクレールはどれだけ長く我慢できる? 毎回せいぜい3位止まりで満足できるのか?」最後にモントーヤは、フェラーリのマシン特性とドライバーの適応力についても語った。「路面が滑らかならフェラーリのドライバーたちは速い。しかし僕はシーズン序盤から言ってきた。ハミルトンはこのクルマに快適さを感じていない。挙動が神経質で予測不能だ。その欠点はすぐに露呈する。ルクレールは長年このチームで走ってきたから、悪いマシンに慣れているんだ。その分、彼はハミルトンを上回っている」フェラーリの構造的課題が露呈、ドライバーの信頼関係にも影響モントーヤの指摘は、フェラーリ内部での構造的問題を浮き彫りにしている。マシン開発の方向性とドライバーからのフィードバックが噛み合わず、特にハミルトンはメルセデス時代とは異なる文化的ギャップに直面している。フェラーリは2026年のレギュレーション変更を前に再び技術基盤の強化を進めているが、ドライバーが信頼できるチーム体制を構築できなければ、戦闘力以前にモチベーションの維持すら難しい。モントーヤの発言は、その“内なる危機”への警鐘として重く響く。