2026年F1レギュレーションを巡り、主要な問題の修正に向けた動きが本格化している。開幕からの3戦で課題が明確となったことで、FIA、F1、チーム、エンジンメーカーの関係者は4月9日に会議を開き、具体的な改善策について議論する予定だ。The Raceの報道によると、次戦マイアミGP前の導入を視野に入れた“6つの対策案”が検討されているという。
開幕3戦で露呈した2026年規則の課題新レギュレーションは、開幕からの3戦でその特徴と問題点を同時に露呈させた。F1内部では“ヨーヨー型”のレーススタイルについては緊急対応の対象とはされていないが、それ以外の複数の分野については迅速な修正が必要との認識が広がっている。特に問題視されているのは、安全性、予選の質、そしてストレートでの速度低下という3点だ。安全性が最優先課題に浮上最も優先度が高いとされているのが安全性の問題である。日本GPではオリバー・ベアマンが高速クラッシュを喫し、エネルギー使用状況の違いによる大きな速度差が事故の引き金となった。ブースト状態のマシンとエネルギーセーブ状態のマシンの間に最大で50km/hの差が生じたことが、その危険性を浮き彫りにした。マクラーレンのアンドレア・ステラは以前からこの問題への対応を求めており、事故を受けてその必要性は一層高まっている。ハースF1チーム代表の小松礼雄も「我々はこれを無視することはできません」と語り、早急な対策の必要性を強調した。“壊れた予選”への強い危機感2026年の予選は、ドライバーから強い不満が出ている分野のひとつだ。シャルル・ルクレールは、限界ギリギリで攻めるラップが失われたことを嘆いており、現在の予選はエネルギーマネジメントに大きく依存している。リフト&コーストやスーパークリッピングが過剰となり、フルアタックが困難になっているほか、アルゴリズムによる制御の影響で、わずかな操作の違いが結果に大きく影響する状況も問題視されている。ストレートでの異常な速度低下もうひとつの大きな課題が、ストレート終盤での急激な速度低下だ。バッテリーが尽きることで速度が大きく落ちる現象は、これまでも存在していたが、2026年のマシンではその影響が極端に強くなっている。メルボルンや鈴鹿では、ストレート終盤で大幅に減速する様子が確認されており、ランド・ノリスは「ストレートで速度が56km/hも落ちるのを見るのは心が痛む」と語っている。この問題はドライバーの体感だけでなく、オンボード映像でも顕著に現れ、レースの見た目にも大きな影響を与えている。6つの対策案が浮上こうした課題に対し、現在6つの対策案が検討されている。いずれもエネルギーマネジメントの過剰さを是正し、ドライバーがより自然にプッシュできる状況を取り戻すことを目的としている。スーパークリッピング強化で“リフト&コースト削減”ひとつは、スーパークリッピング時の出力を現在の250kWから350kWへ引き上げる案だ。フルスロットル状態のままエネルギー回収を強化することで、リフト&コーストに頼る必要性を減らす狙いがある。これにより不自然な減速が減り、車間の急激な縮まりも抑制されるため、安全性の改善にもつながると考えられている。出力抑制で“フラットアウト予選”復活へあえてマシンの出力を抑えるという逆説的なアプローチも検討されている。現在はストレート中盤でエネルギーを使い切ってしまうことが問題であり、最大出力を下げて消費を分散させることで、終盤までパワーを維持する狙いだ。これにより、予選でのフルアタックが可能となり、ドライバー主導のラップが復活することが期待されている。MGU-K制御見直しで“電力消費を後ろ倒し”MGU-Kの出力制御を見直す案も浮上している。現在は一定の割合で出力が減衰する仕組みとなっているが、この減衰カーブを変更することでバッテリーの消費タイミングを後方にずらすことができる。さらに、出力制限が始まる速度(約340km/h)を引き下げることで、より滑らかなパワーデリバリーの実現も視野に入っている。回生エネルギー制限で“戦略を単純化”回収可能なエネルギー量そのものを減らす案も有力だ。現在の予選では1周あたり最大9MJが許可されているが、これを7MJや6MJまで引き下げることで、複雑なエネルギー管理を不要にする狙いがある。ラップタイムの低下は避けられないが、ドライバーが限界まで攻める状況を取り戻すという観点では有効な手段とされている。アクティブエアロ拡大で“エネルギー効率改善”アクティブエアロの使用範囲を大幅に拡大する案も検討されている。現在はFIAが指定するゾーンでのみ使用可能だが、この制限を緩和、あるいは撤廃することで空気抵抗を低減し、エネルギー消費を抑えることができる。例えば鈴鹿では、スプーンカーブからシケインまでの区間での使用が想定されており、セットアップの自由度も大きく広がる可能性がある。内燃機関比率アップで“電動依存を低減”内燃機関の出力比率を引き上げる案も議論されている。現在は電動出力への依存度が高く、それがエネルギーマネジメントの複雑化を招いているため、燃焼エンジン側の比率を増やすことでバランスを見直す狙いだ。ただし、現行パワーユニットの設計上、即時導入は難しく、この案は2027年以降の対応になると見られている。ルール簡素化も重要テーマ今回の会議では、ルールの簡素化も重要な議題となる。現行の複雑な制御システムは、ドライバーだけでなくマシン自体の挙動にも影響を与えており、中国GPではシャルル・ルクレールが閾値の問題によって不適切なエネルギー消費を強いられる場面もあった。こうした複雑なルールを整理することで、ドライバーがより主体的にマシンをコントロールできる環境を取り戻す狙いがある。マイアミ前の修正は実現するか今回の会議では、可能であれば次戦マイアミGP前のルール修正合意が目指されている。ただし、技術的制約から即時対応が難しい項目もあり、すべての問題が短期間で解決されるわけではない。それでも、2026年F1が抱える構造的な課題に対し、早期に手を打とうとする動きが具体化している点は重要だ。今後の議論と実際のルール変更が、現在のレース内容をどこまで改善できるかが注目される。Source: The Race
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