2026年F1プレシーズンテストは、バルセロナでの非公開シェイクダウンを経て、バーレーンで公式6日間の走行が行われた。完全新レギュレーション初年度ということもあり、各チームにとって最大のテーマは走行距離の確保だった。ここでは第1週(1〜3日目)と第2週(4〜6日目)を通した公式データをもとに、各チームの内容を整理する。
■ マクラーレン■ 第1週:422周■ 第2週:395周■ 合計:817周■ 最速:1分32秒861(オスカー・ピアストリ/5日目)第1週でトップタイの周回数を記録し、第2週でも上位圏を維持。バーレーンで唯一800周を突破したチームとなった。テスト期間中は常にタイムシート上位に顔を出しており、信頼性と安定性の両立が際立っていた。ザク・ブラウンとアンドレア・ステラは、王者としてフロントランナーに位置すると見ている一方で、現段階ではメルセデスやフェラーリより速いとは断言していない。とはいえ、新時代の序盤で最も完成度の高いパッケージの一つであることは間違いない。■ メルセデス■ 第1週:282周■ 第2週:432周■ 合計:714周■ 最速:1分32秒803(アンドレア・キミ・アントネッリ/5日目)テスト期間を通して高速かつ信頼性の高い走行を披露。第2週で一気に周回数を伸ばし、合計714周に到達した。最終日にアントネッリのマシンに小トラブルが発生し、90分早く走行を終えることになったが、全体像には大きな影響はなかった。話題となっているパワーユニットの圧縮比問題は、今後の投票によって決着がつく見込み。政治的な不透明感が解消されれば、チームはより明確な状況で開幕を迎えられる。ただし、現時点では圧倒的優位というほどの差は見られていない。■ レッドブル■ 第1週:343周■ 第2週:329周■ 合計:672周■ 最速:1分33秒109(マックス・フェルスタッペン/6日目)初めて自社製パワーユニットを統合したシーズンにもかかわらず、信頼性面で大きな問題がほとんど発生しなかったことは大きな成果だ。ゼロからのエンジンプロジェクトでここまで安定して走行できた点は評価に値する。オン・トラックでのトラブルは少なく、パッケージ全体の完成度も高い。ローラン・メキースはトップ2にわずかに及ばない可能性を示唆しているが、実際のパフォーマンスは極めて接近している。■ フェラーリ■ 第1週:420周■ 第2週:334周■ 合計:754周■ 最速:1分31秒992(シャルル・ルクレール/6日目)テスト最速タイムを記録したのはフェラーリ。ルクレールは最終日に少なくとも5回、自身のベンチマークを更新し続け、そのたびにその日の最速ラップを書き換えた。テストとはいえ、この数字はティフォシに大きな期待を抱かせる結果となった。練習スタートでの発進性能の良さ、リアウイングに導入された回転式の革新構造、信頼性の高さ、そして総合的なペース。ライバル陣営もフェラーリを優勝候補の一角と見ており、プレシーズン特有の楽観が再びフェラーリ周辺に広がっている。■ ウィリアムズ■ 第1週:422周■ 第2週:368周■ 合計:790周■ 最速:1分34秒342(カルロス・サインツJr./6日目)約10年ぶりの好シーズンを経て迎えた新レギュレーション時代。テストではトップクラスの走行距離を確保し、堅実な準備を整えた。メルセデス製パワーユニットは強力かつ信頼性の高い武器となりそうだ。サインツはフロントランナーとの差がある可能性を率直に認めているが、その差がどの程度かは開幕戦まで不透明だ。■ レーシングブルズ■ 第1週:326周■ 第2週:407周■ 合計:733周■ 最速:1分34秒149(アービッド・リンドブラッド/6日目)リンドブラッドは最終日に165周を走行し、バーレーンでのレース距離3回分にわずか6周足りない記録を打ち立てた。新型RBPT-フォードPUのデータを大量に収集し、着実にプログラムを消化した。派手さはないが、静かに確実な準備を進めている印象だ。■ アストンマーティン■ 第1週:206周■ 第2週:128周■ 合計:334周■ 最速:1分35秒974(ランス・ストロール/4日目)合計334周は全体最少。数値だけ見れば6日間での走行距離としては決してゼロではないが、他チームと比較すると大きく見劣りする。ホンダはフェルナンド・アロンソ車のバッテリー問題を認め、さらにパーツ不足も影響し、最終1日半はほぼ走行できなかった。新シーズンを前に、明確な課題を抱えた状態で開幕を迎えることになる。■ ハースF1チーム■ 第1週:390周■ 第2週:404周■ 合計:794周■ 最速:1分33秒487(オリバー・ベアマン/6日目)総周回数は全体2位。6日間を通じて安定して走行を重ね、小規模チームながら効率的なテストを実施した。マシン理解はかなり進んでいると見られる。順位争いは混戦の中団となりそうだが、安定性は大きな武器になる。■ アウディ■ 第1週:353周■ 第2週:357周■ 合計:710周■ 最速:1分33秒755(ガブリエル・ボルトレト/6日目)ザウバーの既存インフラを引き継ぎながらも、自社製パワーユニットでF1に本格参戦。6日間を通じて安定した走行を実現した。新規ワークス体制としては順調な滑り出しであり、開幕時点では中団争いに位置すると予想される。■ アルピーヌ■ 第1週:318周■ 第2週:359周■ 合計:677周■ 最速:1分33秒421(ピエール・ガスリー/6日目)昨季最下位に沈んだチームは、今回のテストで明確にその位置から脱却した印象を与えた。フランコ・コラピントはシェイクダウンとテストを合わせて8レース距離分を走破できたことを高く評価している。ガスリーとコラピントの両名で十分な走行距離を確保し、メルセデスPU統合も問題なく進行している。■ キャデラックF1■ 第1週:320周■ 第2週:266周■ 合計:586周■ 最速:1分35秒290(バルテリ・ボッタス/6日目)完全新規参戦チームとして、大きなトラブルなく6日間を終えたことが最大の成果。開発面で追いつく必要があることはドライバー陣も認めている。現状ではグリッド後方と見られるが、アップグレードによって伸びしろは大きい。■ 新時代の勢力図は三極+中団混戦走行距離とタイムの両面から見ると、フェラーリ、メルセデス、マクラーレンが先行。その背後にレッドブルが続く構図が見える。一方で中団は極めて接近しており、ウィリアムズ、ハースF1チーム、レーシングブルズ、アウディ、アルピーヌが拮抗する。新レギュレーション初年度らしく、走行距離がそのまま競争力の基盤となるシーズンになりそうだ。