F1は現在、全グランプリでの2回ピットストップ義務化を検討していると報じられている。近年、各チームがタイヤ摩耗を抑えた1ストップ戦略を採用する傾向が強まり、レース展開が単調化していることを受けた措置だ。イタリアの『Motorsport Italy』によれば、F1コミッションは今後、3種類のドライタイヤ(ハード/ミディアム/ソフト)すべての使用を義務付ける案を協議する予定で、さらに1セットのタイヤ使用をレース距離の45%以内に制限するという新ルール案も浮上しているという。
戦略単調化への対策として「2ストップ義務化」案が浮上F1ではここ数年、ピット戦略の多様性が失われており、タイヤ摩耗が少ないサーキットでは1ストップ戦略が定着。ピット作業による順位変動や戦略的駆け引きが減少した結果、レース展開が「予測可能で退屈」との批判も聞かれるようになっていた。この流れを受け、F1はすでに一部サーキットでピットレーン速度制限を引き上げるなど、ピットストップ促進策を導入。しかし十分な効果が得られなかったことから、今回の「2ストップ義務化」案が新たな改革案として浮上している。モナコGPやカタールGPでの前例が背景に実際に2025年のモナコGPでは、前例のない2ストップ義務レースが実施された。これは前年2024年大会で、全車が1周目の赤旗中断時にタイヤ交換を済ませた結果、レース中のピットインがほとんどなかったことに対する対策だった。また、2023年のカタールGPでは、タイヤの安全性に関する懸念から、スティント(走行距離)の最大長が制限される特別ルールが導入されており、今回の議論もその延長線上にあるとみられる。レースの“自由度”と“ショー効果”のせめぎ合い2ストップ義務化は、戦略の多様性を取り戻す可能性がある一方で、各チームが独自の判断で戦略を組み立てる「自由度」を奪うとの懸念もある。特に、タイヤ摩耗の少ないコースでは、無理に2ストップを行うことがレースの合理性を損なう恐れがある。一方で、ピット戦略による順位変動が増えることで、観客にとってはよりダイナミックな展開が期待される。F1コミッションによる正式な協議は今後数週間以内に行われる見通しで、2026年以降の競技規則に反映される可能性も指摘されている。ファン視点では歓迎ムードも、課題は「バランス」観戦者の間では「戦略による緊張感を取り戻せるなら歓迎」との声も多いが、一方で「人工的に作られた展開はF1本来の魅力を損なう」との慎重論も根強い。タイヤの性能、ピットタイム、安全性、そして戦略自由度――そのバランスをどう取るかが、今後のF1における重要なテーマとなりそうだ。
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