1996年のF1モナコGPは奇妙な光景が見られた。デビッド・クルサードがミハエル・シューマッハのヘルメットを装着して雨のモンテカルロを走行したえ。当時、マクラーレンのF1ドライバーだったデビッド・クルサードは、ヘルメットの曇りに苦戦していた。濡れたモナコでは防曇ヘルメットが必要だった。
デビッド・クルサードは、フェラーリのF1ドライバーだったミハエル・シューマッハに近づき、そのひとつを貸してくれるよう頼んだ。シューマッハは迷わず彼の有名なヘルメットのひとつを彼に手渡し、クルサードはレースでそれを使用した。3台のマシンが大破したレースではリジェをドライブするオリビエ・パニスが優勝。そして、ミハエル・シューマッハのヘルメットをかぶったデビッド・クルサードは2位でレースを終えた。「ウォームラップでとにかく見えなかったんだ。当時の僕のヘルメットは曇りに役立つダブルバイザーがなかったので、ミハエルのところに行き、ヘルメットを貸してもらえるか尋ねた。そんなことをするのはとても珍しいことだ」「彼は躊躇うことなく『大丈夫、問題ない』と言ってくれた。そのグランプリを3位で終えて、ヘルメットを保持できるか尋ねたところ、ロン・デニス(当時のマクラーレン代表)がヘルメットサプライヤーのところにいって、ヘルメットを欲しいと言っていたことがわかった」「それで僕たちが同意したのは、ロンのためにレプリカを作るということだった。それ以来、スコットランドの僕の博物館にはオリジナルのヘルメットがある。ロンには彼が持っているのはレプリカだと伝えてあるよ」とデビッド・クルサードは笑顔で語った。