カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ)にとって、2025年シーズンはまさにジェットコースターのような一年だった。フェラーリからの移籍初年度は最終的に成功と評価されたが、シーズンを通して常に前向きでいられたわけではない。RacingNews365.comのインタビューでサインツJr.は、夏休み明けに一度は「すべてが真っ暗に見えた」瞬間があったことを率直に認めている。
「気持ちはリフレッシュして準備も整っていた。でも自分自身の小さなミスや、周囲の状況のせいで、ポテンシャル的には6位か7位を狙えたはずのザントフォールトやモンツァで、結局何も得られずに帰ることになった」「これは自分の年じゃない」と感じた瞬間その出来事は、サインツJr.にとって2025年で最も苦しい局面につながった。「『これは自分の年じゃない。どれだけ頑張っても無駄なんだ』と思った。諦める罠に落ちるのは簡単だった。『今年はもう終わった。マシン開発やチームへの適応は続けるけど、誰かが上で決めたみたいに、2025年は結果が出ない年なんだ』と考えてしまいそうだった」この心境は、精神的な限界に近いところまで追い込まれていたことを示している。レジリエンス(折れても戻ってくる力)が流れを変えたシーズン序盤、サインツJr.は新天地ウィリアムズへの適応に苦しんだ。オーストラリアGPのセーフティカー下でのミスに象徴されるように、細かなトラブルや不運も重なった。最初の16戦で獲得したポイントはわずか16点。しかし、後半8戦で一気に48点を積み上げ、チームメイトのアレクサンダー・アルボンに肉薄するまで巻き返した。転機となったのがバクーGPとカタールGPでの2度の表彰台だった。「バクーで表彰台に上がったことで、どれだけ努力を続けることが大事かを思い知らされた。曲がり角を曲がった先に、突然良い結果が待っていることもある。これまで以上に努力しなければならなかったし、レジリエンスは本当に重要だ」「この年は自分を試した」サインツJr.は2025年を次のように総括している。「この年は自分を試したシーズンだった。奇妙なのは、最初からペースはあったし、マシンも最初から戦える状態だったことだ。それでも、何かを結果として得るまでに10戦か12戦も必要だった」ウィリアムズの飛躍とサインツJr.の価値シーズン終盤、サインツJr.はついに努力の成果を手にした。フラストレーションの溜まる序盤戦を乗り越え、チームとともに見事な巻き返しを遂げた。ウィリアムズは2024年から2025年にかけて最も成長したチームとなり、コンストラクターズ選手権では堂々の5位を獲得。その大きな原動力の一つが、移籍初年度からチームを引き上げたサインツJr.の存在だった。