2025年6月13日、F1第9戦カナダGPの金曜プラクティス終了後に開催されたFIA公式記者会見には、フェラーリのフレデリック・バスール、ハースの小松礼雄、ウィリアムズのジェームス・ボウルズの3人のチーム代表が登壇。ハースの200戦目を迎える節目や、フェラーリを巡るイタリアメディアの批判、FW14Bの試乗体験、2026年に向けた開発計画、そしてF1映画出演の裏側まで多岐にわたるテーマについて語った。
Q:小松さん、まずはあなたから。この週末、ハースF1チームにとって節目となる200戦目を迎えます。あなたはチーム創設から携わってきました。ここまでの道のりを振り返っていかがですか?小松礼雄:この10年間の旅について語るには、ちょっと時間が足りないくらいです。でも、クルマの製作やプレシーズンテスト、それからメルボルンへ向かった時のことは、昨日のことのように覚えています。本当にいろんなことがありましたけど、こうして200戦目を迎えることができて、チームを改善しながらミッドフィールドで戦えているのは誇らしいことだと思っています。チーム全員が胸を張っていいことだと感じています。Q:その「浮き沈み」の中で、印象的なハイライトとローライトを一つずつ教えてください。小松:最初のハイライトは、やっぱり2016年の開幕戦メルボルンですね。クルマの製作が終わった時点で、もう1シーズン走り終えたような気分でした。でも実際は何も始まっていなくて。そのあとのプレシーズンテストはほとんど寝ていなくて、記憶もあまりないくらいです。そしてメルボルンに到着して、ピットストップ練習もできない中で、ロマンが6位に入ってくれて、本当に驚きでした。第2戦のバーレーンでも、アグレッシブな戦略でロマンが5位になってくれて。それが明確なハイライトです。2018年もとても良いシーズンで、特にオーストリアでは4位と5位という結果が出て、僕たちにとってはまるで優勝したような気持ちでした。ローライトは2019年ですね。間違った方向に開発を進めてしまって、シーズンを通してクルマを直せなかったんです。予選はそこそこ良かったんですけど、決勝ではまったく戦えなくて、その問題を解決することができませんでした。そしてCOVIDの影響もあって、さらに厳しくなってしまいました。でも、今はまた改善の方向に進んでいて、それはすごく良いことだと思っています。Q:その「改善」についてですが、このカナダGP週末での目標は何ですか?小松:正直に言うと、毎回のレースで期待値を立てるのはすごく難しいです。特に今回のC6タイヤはかなりセンシティブで、どの位置に来られるかを正確に予測するのは簡単じゃないです。ここモントリオールでは、とにかくクリーンな週末を積み上げて、そこからクルマとドライバーの能力をしっかり引き出していきたいと思っています。ポイント争いができたら嬉しいですが、まだまだやるべきことは多いと思っています。Q:ではバスールさん、続いてシャルルのFP1のクラッシュについてお聞きします。ダメージの程度はいかがでしょう?FP2への影響は?フレデリック・バスール:私がガレージを出た時点で、シャシーに損傷があると判断していた。そしてレギュレーションの関係で、FP2には出られない。いくつか確認作業は必要だが、今日はこれで終わりになると思う。Q:イタリアメディアの件に移ります。昨日ルイス・ハミルトンは、あなたに対する批判を否定していました。ご自身はどう受け止めていますか?バスール:冷静でいないとスチュワードのところに呼ばれることになる(笑)。これは一部のイタリアメディアの話で、すべてではない。問題は私個人への批判ではなく、チームのスタッフに対する扱いだ。名前を出して批判するのは、本当に敬意を欠いている。昨年も空力部門の責任者の名前が出され、今年も別の人物が標的になっている。何を目的としているのか理解できない。チームに混乱をもたらしたいのか、それが唯一の存在証明なのかもしれない。だが、それは明らかにチームの妨げになる。週末の始まりからこの話題ばかりで、もしそれが彼らの狙いなら、もう達成されてしまっている。だが、こんなことをしていてはタイトル争いはできない。少なくとも、こうした記者に囲まれている状態では無理だ。スチュワードのところに行くつもりはないが、今のところは、ね。Q:フェラーリのチーム代表であることの宿命として、こうした状況に対処しなければならないのですか?バスール:チーム代表として晒される立場にあることは就任時から理解していた。それは私自身のことなので対処できる。でも、問題はスタッフたちだ。彼らは毎日一生懸命働いていて、ある日突然「この人は交代される」「必要ない」といった記事を書かれる。それは本当に厳しい。彼らにも家族がいて、妻や子どももいる。なのにその存在を無視するような書き方をされるのは、まったくもって敬意に欠けている。だからもう、この愚かな話題についてはこれ以上話したくない。Q:ではパフォーマンスの話に移りましょう。昨年のカナダはフェラーリにとって厳しいレースでした。今年はより自信を持って臨めていますか?バスール:少なくとも昨年より悪くなることはない。あのときは2台ともリタイアだったからね。今朝のFP1では、クラッシュ前のシャルルのペースは悪くなかったし、ルイスの方も順調だった。シーズン序盤と比べれば、間違いなく進歩している。ここ3〜4戦はペースが良く、それは開幕当初にもあったことだが、以前はレースペースが強くて予選ペースが課題だった。今はそれを少しずつまとめられるようになってきている。でも、まだマクラーレンには届いていない。彼らをターゲットとして見なければならない。後ろではなく前を見る必要がある。ただ、我々は確実に正しい方向に進んでいると思う。Q:ありがとうございます。ではジェームス、話題を変えて、最近ドライブされたウィリアムズのFW14Bについて教えてください。そのときの気持ちは?ジェームス・ボウルズ:本当に特別な体験だった。走行を終えたあと、スタッフが「少し時間いる?」と聞いてくれて、私は10分ほどそのまま車内に残って余韻を楽しんでいた。これはグッドウッドに持っていく準備のためのテストだったんだけど、30年前にテレビで見ていたマシンを実際にドライブすることになるなんて、本当に夢のようだった。このクルマは非常に軽くて、ナイジェルが1992年にハンガリーでタイトルを決めた、まさにその車両だった。その瞬間、その空間の一部になれたことが本当に感動的だった。Q:...