ブリヂストンが、2009年F1開幕戦オーストラリアGPの決勝レースを振り返った。スリックタイヤがグランプリにカムバックを果たしたオーストラリアGPは、ブラウンGPチームの完ぺきなデビュー戦を戦ったジェンソン・バトンがミディアム・ミディアム・ス−パ−ソフトのタイヤ戦略でエキサイティングな新レギュレーションでのF1シーズン第1戦の優勝を果たした。
1位のバトンに続いてフィニッシュしたのは、チームメイトのルーベンス・バリチェロとパナソニック・トヨタ・レーシングのヤルノ・トゥルーリ*。バリチェロがバトンと同じタイヤ戦略を用いたのに対して、トゥルーリはスーパーソフト・タイヤを装着してピットレーンからのスタート、その後2回ミディアムに交換した。*レース後、3位に入ったトゥルーリ選手はセーフティーカー導入中に他車を追い抜いたことに対し、25秒のペナルティーを受け12位に降格、代わってハミルトン選手が3位に繰り上がりました。浜島裕英(株)ブリヂストン MS・MCタイヤ開発本部長ブリヂストンの立場から見た2009年開幕戦はいかがでしたか?「まず、まれに見るエキサイティングなレースで優勝したジェンソン・バトンとブラウンGPチーム、そして2位完走を果たしたルーベンス・バリチェロにお祝いを申し上げます。また、新レギュレーションを施行したFIA、エキサイティングでスピードに優れた新車開発に成功した各チームにもお祝いを申し上げます。2009年度の変更がF1に大きな違いをもたらしたことが分かる意義深いレースでした。スリックタイヤと我々の新しいタイヤアロケーション理念は、各チームに多くの課題を提示したと思います。上手く対処できたチームとそうでないチームがありました。タイヤ戦略は順位を上げることに欠かせないポイントでした。また、スーパーソフト・タイヤは性能の落ちが早かったため、このタイヤに適したセットアップが良いリザルトを達成するカギになりました。ミディアム・タイヤは非常に丈夫で、戦略やセットアップの幅をチームに提供することができたと思います」今回使われた異なるタイプの戦略についての感想を聞かせてください。「今回は我々ブリヂストンの新しいタイヤを用いた初めてのレースでしたので、週末を通して数々の異なるアプローチが見られました。土曜日のデータを見ると、1回目のフライイングラップではスーパーソフト・タイヤが約1.2秒ミディアムよりも速かったことが分かります。その通り、スーパーソフトでスタートした選手には序盤かなりのアドバンテージがありました。しかし、最終スティントでスーパーソフトを使った選手にも、レース中にゴムが乗って路面コンディションが良くなっていたためメリットがありました。レースのスタートから中盤までスーパーソフトを使った場合は、5、6秒の遅れが出ることを予想していました。だからこのタイヤで長いスティントを走る選手は多くなかったのだと思います」