マクラーレンのランド・ノリスがサンパウロで“パーフェクト・ウィークエンド”を達成。スプリント&予選ダブルポールから決勝まで首位を譲らず、今季7勝目を飾った。終盤はアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)とピットレーンスタートのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が白熱のP2争い。チェッカーはノリス→アントネッリ→フェルスタッペンの順となった。
選手権の行方にも大きな影響。ノリスはオスカー・ピアストリに対しポイント差を一気に24へ拡大。フェラーリはダブルDNFで痛恨、メルセデスは2位・4位で大量得点、レーシングブルズはダブル入賞で中団の主役に躍り出た。スタート~セーフティカー:序盤から波乱オープニングラップでガブリエル・ボルトレト(ザウバー)がT10でバリアにヒットしセーフティカー。ルイス・ハミルトン(フェラーリ)はスタート直後の接触でフロントウイングを破損し最後尾へ後退。レースはノリス—アントネッリ—ルクレール—ピアストリ—ハジャー—ラッセル—ローソン…のオーダーで再開へ。再開直後の混乱:ピアストリの突入、ルクレールはまさかの脱落リスタートでピアストリがT1で強気の突入。アントネッリと接触し、その余波でシャルル・ルクレール(フェラーリ)が足回りを壊してストップ。のちにピアストリには10秒ペナルティ。ここで隊列が崩れ、上位はマクラーレン1-2の形に。中盤の戦略:ミディアム最有力、フェルスタッペンは“変則二段構え”この日の“当たりコンパウンド”はミディアム。ハードは伸びず、ソフトはスティント管理が鍵。フェルスタッペンは序盤にスローパンクチャーで早めのピットを強いられたが、その後のミディアム→終盤ソフトの“二段ロケット”で猛追態勢に。31周目、ノリスが先にソフトへ。中盤は各車がアンダーカット/オーバーカットを応酬しつつも、ノリスは常に“安全圏”をキープ。勝負どころ①:P3争い—フェルスタッペンvsラッセル60周過ぎ、タイヤとブレーキを労るジョージ・ラッセル(メルセデス)に対し、フェルスタッペンがDRS圏内で圧力。63周目、T1外からオーバーテイクを決めてP3浮上。ここからターゲットはアントネッリとなる。勝負どころ②:P2攻防—“ミディアムの意地”と“ソフトの牙”68周目、フェルスタッペンがついにアントネッリの背後へ。だがメルセデスのルーキーは巧みなERS運用とクリーンなトラクションでT1/T4を死守。70~71周にかけてもDRSを許しつつ決定打は与えず。最終的にアントネッリが0.3秒差でP2をつかみ、自身ベストリザルト&2度目の表彰台を獲得。ノリスは10.4秒先で悠々とチェッカー。角田裕毅のレース:ペナルティに泣く苦戦の一日角田裕毅(レッドブル)は再開局面での接触やペナルティ処理の不備も重なりリズムを欠く展開。2度目の10秒加算も科され、流れを取り戻せず17位フィニッシュ。セットアップの是非や作業手順の再点検など、課題を持ち帰るレースになった。表彰台の言葉:クールダウンルームから表彰台までランド・ノリス(マクラーレン)「最高の週末だ。ブラジルで勝ててうれしいし、ファンもトラックも素晴らしい。外野の雑音は無視して、僕たちはサーキットの内外でやるべきことをやり続けるだけ」アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)「(終盤は)すごくストレスフルだった。マックスが新しいタイヤで迫ってきていたからね。最後はリズムをつかんでペースを上げた。乱流の中は追うのが難しいはずだから、そこを生かして守り切れた」マックス・フェルスタッペン(レッドブル)「ピットレーンから表彰台? 正直、予想していなかった。パンクもあったしね。それでも“諦めない”のが僕たち。DRSトレインで一筋縄ではいかなかったけど、最終的にトップと10秒差まで来られたのは素晴らしい結果だ」チーム別トピック:明暗分かれた中団戦線■ マクラーレン:ノリス優勝、ピアストリは10秒ペナルティを抱えつつも5位。選手権でノリスが主導権を強化。■ メルセデス:アントネッリ2位、ラッセル4位。ブレーキ管理に苦しみつつも高効率で大量得点。■ レッドブル:フェルスタッペンがピットレーンスタートから3位。角田裕毅は17位でノーポイント。■ レーシングブルズ:リアム・ローソン7位、アイザック・ハジャー8位のダブル入賞。堅実なワンストップ勢がポイントを拾う。■ ハースF1チーム:オリバー・ベアマンが見事6位。スタート直後の混乱を巧みにさばき、ピット作業の遅れも挽回。■ アルピーヌ:ピエール・ガスリー10位入賞。フランコ・コラピントは15位完走。■ ザウバー:ニコ・ヒュルケンベルグ9位。ボルトレトは無念のリタイア。■ ウィリアムズ:アレクサンダー・アルボン11位、カルロス・サインツJr.13位。■ アストンマーティン:フェルナンド・アロンソ14位、ランス・ストロール16位。■ フェラーリ:ハミルトン&ルクレールは接触・損傷の連鎖でダブルDNF。レースの要点(時系列ダイジェスト)■ Lap1-4:ボルトレトがT10でクラッシュ、SC。ハミルトンはフロントウイング損傷で最後尾へ。■ Lap6-7:再開直後にピアストリがアントネッリへダイブ。巻き添えでルクレールが足回り破損→DNF。VSC介入。■ Lap16-18:ピアストリに10秒ペナルティ通達。ノリスはDRS圏外に逃げ、主導権を確立。■ Lap31:ノリスがソフトへ。以後、上位は二度目のピットタイミングとタイヤ差の綱引きに。■ Lap55:フェルスタッペンがソフトへ。終盤の猛追プランが発動。■ Lap60-63:フェルスタッペンがラッセルを攻略してP3。ターゲットをアントネッリへ変更。■ Lap68-71:P2攻防が白熱。ERS配分とトラクションで上回ったアントネッリが0.3秒差で死守。ノリスは10.4秒先でフィニッシュ。選手権トピック■ ノリスが選手権リードを24点に拡大。■ フェルスタッペンは“望みをつなぐ”表彰台。■ コンストラクターズはメルセデスが反攻、フェラーリはダブルDNFで打撃。