BMWザウバー F1.09は、2009年のレギュレーションの中で空気効率とダウンフォースが徹底的に追及され、BMWらしさを残しつつも斬新で大胆なエアロコンセプトが採用されている。BMWザウバーは、シーズン直後の11月のテストから暫定マシンF1.08Bで2009年版のボディワークを披露していたので、発表されたF1.09に当時ほどの大きな驚きはないが、2ヶ月間のアドバンテージを細部に取り入れ、レギュレーションを独自に解釈した空力デザインが施されている。
フロントウイングは、2枚のフラップを持つ3段構成。エンドプレートの途中は一度フェンスで仕切られ、上部のフラップにも段差が付けられている。フロントタイヤの内側のサスペンション周り、タイヤへ当たる気流、タイヤの外側へ逃がす気流を処理している。 ノーズは規定ぎりぎりまで広げられた。2009年マシンではルノー R29、ウィリアムズ FW31も同様の手法を採用しており、2009年マシンの1つのトレンドともいえるコンセプトだ。ノーズサイドは、先端から上下向かって2本のラインが張り出した形状をしており、フロントサスペンションへの気流を整えようとしている。昨年、ホーンウイングを採用したBMWらしい処理だ。下部には垂直にスプリッターが備えられ、ノーズ下の空気をマシン後方へと送る。 F1.09で最も特徴的なのはサイドポットの処理といえる。シャシーとサイドポッドは楔型に一体化し、ラジエーターへ向かって空気をジ上下に二分する。前から見るとサイドポットのサイドエッジが盛り上がる“いかり肩”形状を採用し、その外側でラジエーターがスリムに口を開けている。サイドポッドは広く高い形状で、アンダーカットはほとんど施されておらず、最も幅広い部分ではフロアとほぼ同程度の幅がありボディサイドにフェンスを形成する。また昨年のように後方は落し込まれておらず、リアエンドへスムーズな空気の流れを形成している。サイドポッド後方は、下部が内側に絞り込み、上部がそこに覆いかぶさっている。これはルノー R29にも見られる処理だ。 そして、そこには興味深いソリューションが搭載されている。新レギュレーションではサイドポッドにルーバーを設けることが禁止されているが、地面から100mのサイドのボディワークは除外されており、BMWはマシンフロアのすぐ上に多数のスロットを追加し、ラジエーターの空気の出口を作り出している。また、マシンボディの頭部保護用隆起のすぐ横にも開口部を設けている。中心線から左右350mmを越えた部分での開口部は認められていないが、こちらも範囲内であり、ある種、規定の隙間をついた処理といえる。 リアタイヤ内側には、フロアに沿ってフェンスが設けられている。リアウイングのフラップは1枚で、翼端板には4本のスリットが入れられている。主要諸元表:BMWザウバー F1.09関連:BWWザウバー F1.09 アップグレード (F1スペインGP)
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