F1第10戦ベルギーGPは、夏休み前最後から2戦目としてスパ・フランコルシャンで開催される。全長7.004kmを誇るカレンダー最長コースは「F1の大学」とも称され、多彩なコーナー、高低差、そして変わりやすい天候がドライバーとチームに総合力を要求する。タイヤサプライヤーのピレリは、2026年ベルギーGPに向けてC2(ハード)、C3(ミディアム)、C4(ソフト)の3種類を選択。新世代マシンの空力特性やパワーユニット運用が、今年のレース展開を大きく左右すると分析している。
スパはF1マシンの総合性能が試される「大学」スパ・フランコルシャンは1950年のF1世界選手権創設当初から開催されてきた伝統のサーキットであり、現在も年間カレンダーで最長となる7.004kmのレイアウトを持つ。長いストレート、高速コーナー、急激な高低差が組み合わさったレイアウトは、空力性能、パワーユニット、タイヤ、そしてドライバーの技術を総合的に試すコースとして知られる。その象徴がオー・ルージュからラディオンを駆け上がり、ケメルストレートへ至る高速区間だ。左右へ素早く切り返しながら急勾配を一気に駆け上がるこのセクションは、F1屈指の名物コーナーとなっている。近年は雨天時の安全性向上を目的に路面へ排水用の溝が設けられ、水はけと視界改善が図られている。アルデンヌ特有の天候が最大の難敵スパ最大の特徴は、アルデンヌの森特有のマイクロクライメート(局地的気候)にある。雨雲がサーキット周辺へ長時間留まりやすく、コースの一部は乾いていても別の区間は濡れたままという状況が珍しくない。そのため、ドライバーはスリックタイヤを選ぶべきか、インターミディエイトを履くべきかという難しい判断を常に迫られる。また、数年前に全面舗装が行われた路面は、週末序盤こそグリップが低い傾向にあるものの、開催直前に行われたスパ24時間レースによってラバーが乗っており、通常より早い段階で路面状況が改善する可能性もある。ピレリはC2・C3・C4を選択ピレリは今週末に向け、C2、C3、C4の3種類を持ち込む。スパはタイヤへ大きな荷重がかかるサーキットのひとつだが、鈴鹿やシルバーストンほど極端な負荷ではないと分析されている。一方で、近年の高温化は新たな課題となっている。6月末に開催されたスパ24時間レースでは路面温度が55℃を超える場面もあり、同様のコンディションになれば熱によるタイヤ摩耗が増え、2ストップ戦略を採用するチームが増える可能性がある。現時点では決勝で主役となるのは、レンジ内で最も硬い2種類のコンパウンドになると予想されている。2026年型マシンは空力面で有利に今年のマシンは新レギュレーションによるアクティブエアロダイナミクスを採用している。これにより、チームはテクニカルセクションでは高ダウンフォース仕様を維持しながら、ストレートではストレートモードを使用できるため、従来よりセットアップの妥協点を見つけやすくなるとピレリは見ている。さらにシルバーストンで見られたように、ドライバーがいかに効率良くエネルギーを回収し、パワーユニットを管理できるかも重要な勝負のポイントになる。3つのセクターは性格が大きく異なり、第1セクターは高速ストレート主体、第2セクターは中速コーナーが連続するテクニカル区間、第3セクターは緩やかな上り勾配を活かした高速区間となっており、セットアップの最適化は今なお各チームにとって難題となっている。2025年は雨でスタートが1時間以上遅延昨年のベルギーGPは悪天候によりスタートが1時間以上遅れた。フォーメーションラップ後に視界不良のため手順が中断され、その後セーフティカー先導で4周したあと正式スタートが切られた。全車がインターミディエイトタイヤで走行を開始し、11周目以降はノリスを除く全ドライバーがミディアムへ交換。ノリスのみハードタイヤを選択した。2回目のピットストップを行ったのは後方グループの6台のみだった。ベルギーGPの開催実績2026年大会はベルギーGPとして71回目の開催となる。そのうち58回はスパ・フランコルシャンで開催され、ゾルダーで10回、ニヴェルで2回開催された。最多勝ドライバーはミハエル・シューマッハで6勝。1992年にはベネトンで自身初のF1優勝をスパで挙げた。続いてルイス・ハミルトンとアイルトン・セナが5勝で並ぶ。コンストラクターではフェラーリが18勝で歴代最多となっており、マクラーレンを3勝上回っている。F1屈指の難コースとして知られるスパでは、天候、タイヤ、エネルギーマネジメント、そして新世代マシンの空力性能が複雑に絡み合う。夏休み前最後の重要な一戦は、チームの総合力が試される週末となりそうだ。