2025年F1第11戦オーストリアGPの木曜は、現地スチリア州全域に「最大100km/hの突風と雹、雷雨、河川氾濫、倒木」の深刻な天候警報が発令され、メディアデーが異例の雰囲気に包まれた。アレックス・アルボンやリアム・ローソンの囲み取材中には、現場にいた全員のスマートフォンが一斉に警報音を発し、混乱が走る場面も。現地入りしていたRacingNews365の記者イアン・パークスは「まるで聖書の一節のような“終末的警報”だった」と振り返る。
フェルスタッペン、記者会見で警戒感 「これは罠か?」そんな中で注目を集めたのは、スーパーライセンスポイントが懸かる週末を迎えるマックス・フェルスタッペン。今週末に再びペナルティポイントを加算されれば、次戦シルバーストンで出場停止となる可能性がある。記者から「運転スタイルを変えるつもりは?」と問われたフェルスタッペンは、「それって罠だろ?」と笑みを交えつつ牽制。さらに2026年以降のレッドブル残留の可能性についても「分からない。今は今に集中している」と話し、明言を避けた。昨年の同じ記者会見でも同様の質問を受けていた彼は、今年もまた“含みを持たせた回答”を残し、メディアに見出しのネタを提供する格好となった。ラッセルは抗議費用の引き上げを提案「チームも慎重になるべき」フェルスタッペンが発言を控えた一方で、カナダGPでの抗議対象となったジョージ・ラッセルは、自身に対する2件の抗議(どちらもレッドブル側の敗訴)に触れ、「1件2000ユーロという抗議費用は安すぎる」とコメント。「例えば10万ユーロに引き上げれば、どのチームも真剣に考えるようになるはず」と語り、抗議制度改革の必要性を指摘した。この意見にはマクラーレンCEOのザク・ブラウンも以前から同調している。フェラーリとメルセデス 新パーツの評価は分かれる今週末はフェラーリとメルセデスが新たなアップグレードを投入。ルイス・ハミルトンは「ようやく新パーツを手に入れた」と前向きな姿勢を見せ、今季グランプリ本戦で未表彰台という状況の打開に期待を寄せている。一方、チームメイトのシャルル・ルクレールはFP1を欠場するため、評価はFP2以降に持ち越しに。「ここはラップが短く、FP1を欠場するならオーストリアだと思っていた」と冷静に対応しつつも、「アップグレードの方向性がルイス寄りになっていないか気になる」とも語った。マクラーレンは“内戦”の影響引きずらず立て直せるかカナダGPでチームメイト同士の接触という事態を招いたマクラーレンは、ランド・ノリスが全面的に非を認め「厳しい数日間だった」と振り返った。一方、オスカー・ピアストリは「スタイルを変えるつもりはない」と冷静そのもの。レッドブル・リンクはノリスが好成績を残してきた“得意コース”であり、今週末は精神的にも重要な一戦となる。RacingNews365のイアン・パークスは「ノーミスで週末を過ごせるかどうかが鍵。ノリスにとっては信頼回復の場だ」と分析。なお、両者の差は現在22ポイントに広がっている。フェルスタッペン vs ノリス vs ピアストリ 三つ巴の予感週末の主な構図は、昨年も接触劇を演じたフェルスタッペンとノリス、そして安定感を増すピアストリによる三つ巴の争いになりそうだ。加えて、フェラーリとメルセデスのアップグレードが機能すれば、ハミルトンやルクレールも表彰台圏に食い込む可能性がある。週末の天候は金曜こそ不安定ながら、土日は晴天と高温が予想されており、セッティングの“ウィンドウ”が狭いフェラーリにとっては朗報となるかもしれない。スプリントなしの通常週末 金曜のセッションに注目今週はスプリントではなく通常の週末スケジュール。金曜にFP1と予選、土曜にFP2、日曜に決勝という構成で行われる。今季のタイトル争いが一層激化する中、オーストリアGPは勢力図を再編する重要な一戦になる可能性を秘めている。
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