2026年F1シーズンで深刻な低迷に苦しむアストンマーティンとホンダのパートナーシップが、パドック内で大きな議論を呼んでいる。そうした中、FIAは新世代パワーユニット規則における「追加開発・アップグレード機会(ADUO)」の支援範囲を拡大した。背景には、一部メーカーの性能不足が想定以上に深刻化している現実があるとみられており、特に苦戦が続くホンダ陣営への影響が注目されている。
スペインの著名F1解説者アントニオ・ロバトは、現在のアストンマーティンを極めて厳しい言葉で批判した。「F1史上もっとも深刻な失敗」「私の意見では、今のアストンマーティンの失敗は、F1史上もっとも深刻なチームの失敗だ」とロバトは語った。「彼らには最先端の施設、最高の風洞、新しいシミュレーター、他チームから獲得した空力担当者、エイドリアン・ニューウェイがいる。大きな期待があった。それなのに、ホンダとのパートナーシップが機能しないことで、すべてを台無しにしている」「これは惨事だ。本当の惨事だ」アストンマーティンは、2026年F1レギュレーションに向けて莫大な投資を行ってきた。シルバーストンの新ファクトリー、新風洞、新シミュレーターに加え、エイドリアン・ニューウェイ加入によって“次世代王者候補”として期待されていた。しかし現実には、2026年シーズン開幕から深刻な競争力不足に直面。ホンダ製パワーユニットの出力不足やエネルギーマネジメント問題が取り沙汰され、アストンマーティンはコンストラクターズランキング最下位争いに沈んでいる。FIAが救済制度を拡大こうした状況を受け、FIAはADUO制度の適用範囲を拡大した。ADUOは、性能面で後れを取るパワーユニットメーカーに対し、追加のダイノ稼働時間や開発自由度、予算上限の緩和を与える制度だ。過去のF1エンジン時代のように、劣勢メーカーが長期にわたって固定化されることを防ぐ目的で導入された。今回の変更では、支援対象となる性能差の上限が8%から10%へ引き上げられた。さらに2026年限定で800万ドルの追加支出枠も認められている。FIAは評価スケジュールも修正。当初予定されていた第6戦、第12戦、第18戦後ではなく、最初の正式評価はカナダGP後に行われ、その後ハンガリーGP、メキシコGP後にも評価が実施される。「これらのADUO期間は、競技カレンダーに重大な変更があった場合、FIAによって調整される可能性がある」とFIAは説明した。ホンダ危機を示唆する異例の措置今回の改定は、FIAが一部メーカーの遅れを想定以上に深刻視していることを示唆している。パドックでは、特にホンダが2026年F1パワーユニット競争で大きく出遅れているとの見方が強まっている。アストンマーティンの低迷は、単なるシャシー性能だけでなく、エネルギー回生やパワーデリバリーの問題とも結びつけられている。一方、メルセデスのジョージ・ラッセルは、ADUO拡大による勢力図変化について慎重な見方を示した。「もちろん、僕たちは風洞の時間も、ダイノの時間ももっと欲しい」「それでも僕はチームを信頼しているし、それが僕たちを助けるとはまだ思っていない。ただ、害になるとも、状況をあまりにも大きく変えるとも思っていない」また、レッドブル・フォードの新パワーユニット計画にも注目が集まっている。ローラン・メキースは以前、社内エンジンプログラムが「悪夢のシナリオ」になり得る懸念があったことを認めつつも、現在は期待以上の進展があると説明していた。FIAによる今回のADUO拡大は、2026年F1シーズンの勢力図がまだ固定化されていないことを示している。そして、その制度変更の背景にアストンマーティンとホンダの危機があることは、もはやパドック内で隠しきれないテーマとなりつつある。
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