アストンマーティンの2026年F1マシンAMR26は、エイドリアン・ニューウェイが同チームに加わって以降、初めて全面的に関与したマシンとして注目を集めている。1月にバルセロナで行われた非公開シェイクダウンで初走行を迎えると、パドックではその独創的な設計が大きな話題となった。
中でも注目を浴びているのがリアサスペンションだ。ウィリアムズのチーム代表を務めるジェームス・ボウルズは、このAMR26のサスペンション構成について「非常にエクストリームだ」と評し、ニューウェイの設計思想に強い印象を受けたと語っている。「エイドリアンのサスペンションの選択は、本当に印象的だ。正直に言って、とてもエクストリームだと思う。」「彼はウィッシュボーンを、正直言って“そこに置くべきではないのでは”と思うような場所に配置している。でも、実際にやってのけている。」ボウルズは、AMR26がニューウェイにとってアストンマーティン移籍後初のF1マシンである点にも触れ、その設計がパドック全体の視線を集めた理由を説明した。「バルセロナで初めて走ったとき、パドックは完全に立ち止まった。あのマシンはそれだけ注目を集める存在だった。」AMR26の設計については、技術的観点からも高い評価が寄せられている。メルセデスのジョージ・ラッセルも、同車のリアサスペンションに言及し、2026年型マシンの中でも際立った存在だと語っている。「誰もがあのリアサスペンションに目を奪われていたと思う。見た目としては本当に印象的だ。」「でも、セクシーさを競うレースじゃない。どれだけ速く走れるかの勝負だ。」ライバル代表が見たAMR26の「異質さ」ボウルズ自身も、AMR26のリアサスペンションについて、エンジニアリングの観点から高く評価している。「エンジニアリングという視点で見れば、本当に見事だと思う。」一方でボウルズは、バルセロナでのテスト全体を振り返り、他チームについても言及している。特にレッドブル・フォードのパワーユニットの信頼性、フェラーリSF-26の一貫性、そしてメルセデスW17の堅牢性を称賛した。「まず、レッドブルには本当に感心した。特にパワーユニットだ。ゼロから作り上げて、あれほどの信頼性を実現するのは並大抵のことじゃない。」「次にフェラーリだ。絶対的な速さには疑問符が付くかもしれないが、立ち上がりからの一貫性は本当に素晴らしい。」「そしてメルセデスだ。私は長くあそこにいたから分かるが、彼らはレギュレーション変更を正しく捉え、堅牢で信頼性の高いパッケージを持ち込むのが本当にうまい。」「テスト開始から1日ほどでレースシミュレーションをこなしているのを見ると、本当に印象的だ。」その上で、再びアストンマーティンとニューウェイの仕事ぶりに話題を戻した。「最後にアストンだ。本当に印象的だ。」「エイドリアンはとにかく創造的なデザイナーだ。自分なら設計したくないと思うようなウィッシュボーン配置を、彼は実現している。」「ただ、それこそが今シーズンに必要な“物語”なんだと思う。」ボウルズは、2026年シーズン序盤に勢力図を判断する難しさにも触れている。「正直なところ、現時点で序列を語るのは難しい。今見ているマシンが、メルボルンで見るマシンと同じとは限らないからだ。」「それがシーズン序盤を面白くしている。」さらにボウルズは、ニューウェイの設計アプローチを改めてこう表現した。「エイドリアンについては、さっきも少し触れたが、我々のフロントウィッシュボーンも少し違ったアプローチを取っている。」「でも、彼が行った方向性は……とにかく非常に印象的で、創造的で、そしてエクストリームだ。」「正直に言えば、あの設計の責任者にはなりたくないね。」こうした評価の背景には、ニューウェイ自身がAMR26について「開幕戦までに非常に大きく変わる」と語っている点もある。2026年は新シャシー、新パワーユニットという大改革の初年度であり、開発競争はシーズン序盤から激化すると見られている。ウィリアムズもまた、2026年型マシンFW48のサスペンション構成について慎重な姿勢を取っている。ボウルズはフロントサスペンションが「やや異なる」と認めつつも、詳細を伏せてきた。2026年F1で分かれたサスペンションの選択実際、ウィリアムズが発表したショーカーやレンダリング画像では、一部のサスペンションアームが意図的に省かれていたことが後に明らかになっている。その後、ウィリアムズはFW48がフロントにプルロッド、リアにプッシュロッドを採用していることを正式に認め、シルバーストンでのシェイクダウン走行時の初画像を公開した。この構成により、ウィリアムズは2026年シーズンにおいて、前後で異なる方式を採用する唯一のチームとなっている。多くのチームは前後ともプッシュロッドを選択しており、ダブルプルロッドを採用しているのはアルピーヌとキャデラックのみだ。AMR26の“極端”とも言えるサスペンション設計は、2026年F1の技術的多様性と開発競争の激しさを象徴する存在となっている。ニューウェイの創造性が、実際の競争力としてどこまで結実するのか。その答えは、開幕戦オーストラリアGPで明らかになる。