アストンマーティンF1のテクニカルディレクターであるダン・ファロウズは、F1でのオーバーテイクが再び難しくなったという主張の裏付けとなるデータを見たことがないと語っている。先月のアゼルバイジャンGPの“居眠り大会”以来、F1ドライバーたちの間では、今季は昨年に比べてオーバーテイクが難しくなっていると主張する意見が一致しており、FIAが多くのサーキットでDRSゾーンを2022年の長さよりも短くする決定を下したことでこの問題はさらに深刻化している。
昨年、F1のレギュレーションが見直され、グラウンドエフェクト・エアロダイナミクスが導入されたことで、当初はドライバー同士がより接近して追走できるようになり、オーバーテイクの機会も増えた。しかし、F1エンジニアがルールにとらわれず開発を進めるにつれ、ダウンフォースレベルは再び上昇し、現在の仕様ではより多くのダーティエアを発生させている。だが、ダン・ファロウズは、F1ドライバーの懸念を認めつつも、オーバーテイクの現実には疑問符をつけ、関連するデータを見たいと考えている。「そのような話は聞いているが、オーバーテイクが難しくなったというようなデータは今のところ見たことがない」とダン・ファロウズは語った。「ドライバーにはそれぞれの意見があるし、互いに微妙に異なる仕様のマシンを走らせているのを見たことがある。それは明らかに違いを生む」「今はまだ数レースだが、それを語るにはまだ少し早いかもしれない」ダン・ファロウズは、メルセデスF1のチーム代表であるトト・ヴォルフがレッテルを貼ったように、バクーの「退屈な」行列を否定することはしなかった。しかし、アストンのチーフエンジニアは、いくつかの会場で適切なオーバーテイクの機会も目撃している。「バクーについては話題になったが、これまでのレースではオーバーテイクの機会があったように思う」とファロウズは続けた。「明らかにサーキット依存の特性がある。モナコは極端な例だが、レースでオーバーテイクする機会が限られているため、予選でクルマの能力を最大限に発揮しなければならないサーキットがあることは承知している」「これは今年のすべてのサーキットで続くだろう。オーバーテイクしやすいサーキットとそうでないサーキットは必ず存在する」