アンドレア・キミ・アントネッリのF1イギリスGP終盤を巡る5秒ペナルティについて、メルセデス代表トト・ヴォルフはレース直後、異議申し立ての可能性を示唆した。しかし、その後公開されたオンボード映像の分析により、FIAの裁定は妥当だったとの見方が強まっている。一方で、レース後に公開された無線では、ヴォルフがアントネッリの驚異的なペースを称賛しながらも、相次ぐトラブルによって勝利を逃したことへの無念さを隠せなかった様子も明らかになった。
優勝目前から一転 ノーポイントに終わったアントネッリアントネッリは終盤、首位シャルル・ルクレールとの差を急速に縮め、優勝争いを展開していた。しかし、フロント左側のホイールシールドが破損したことでステアリング操作が困難となり、マシンのコントロールを失う場面が続出した。メルセデスは2度にわたってピットインを指示したが、アントネッリは走行継続を選択。その間にコースオフを繰り返し、最終的にトラックリミット違反で5秒ペナルティを科された。9位でチェッカーを受けたものの、ペナルティにより16位へ降格し、優勝争いから一転してノーポイントに終わった。無線ではアントネッリが「冗談だろ。わざとじゃない。マシンは壊れていたし、何も得していない」と裁定に不満を示していた。ヴォルフは異議申し立てを示唆レース後、ヴォルフはGPBlogに対し、ペナルティについて見直しを求める可能性を示した。「最新の状況は分からないが、彼はマシンを曲げられない状態だった。だからトラックリミットのペナルティを回避できないか検討している」メルセデスはマシントラブルにドライバーの責任はなかったと説明しており、ヴォルフもアントネッリが不当な裁定を受けたとの認識を示していた。しかし、最終的にメルセデスは正式な異議申し立てを行わなかった。オンボード映像が示した裁定の根拠その後、F1公式YouTubeで公開されたオンボード映像を分析したジョリオン・パーマーは、当初は裁定が厳しすぎると考えていたものの、映像を精査した結果、FIAの判断は妥当だったと結論づけた。パーマーは次のように説明している。「レース中は厳しすぎるペナルティだと思っていた。マシンは曲がらず、彼が不当に利益を得ているようには見えなかったからだ」「しかしオンボードを見ると、ストウやブルックランズでコース外へ膨らみながらアクセルを緩めず走行し、結果としてタイムを稼いでいる場面が何度も確認できる」「マシンに問題があったとしても、コース内にとどまるにはさらに減速する必要があった。繰り返しトラックリミットを超えて利益を得ている以上、ペナルティは妥当だった」パーマーは、過去にシャルル・ルクレールが同様のケースで裁定を受けたマイアミGPの事例にも触れ、「マシントラブルがあってもコース内に留まる義務は変わらない」と指摘した。ヴォルフは無線で悔しさを爆発レース後に公開された未公開無線では、ヴォルフがアントネッリに対し、感情を抑えきれない様子で語りかけていたことも判明した。「キミ、くそ……本当に最悪だ。でも仕方ない。ペースは本当に最高だった。でも、それで気持ちが楽になるわけじゃない」短いメッセージの中には5回もの罵り言葉が含まれており、勝利目前で失われた結果への悔しさがにじんでいた。その直前にはレースエンジニアのピーター・ボニントンも、「本当に申し訳ない。こんな終わり方になってしまった」と無線で謝罪していたが、アントネッリからの返答はなかった。一方、ジョージ・ラッセルにはヴォルフが表彰台獲得を祝福。クールダウンラップではラッセルがストレートスピード不足を訴えたものの、ヴォルフはその不満をやんわりとかわしている。今回公開されたオンボード映像と無線は、メルセデス陣営が感じていた不運と、FIAが下した裁定の妥当性という二つの側面を浮き彫りにした。マシントラブルによって優勝を逃したアントネッリへの同情は大きい一方で、映像分析からはトラックリミット違反によるアドバンテージが確認され、最終的にチームが異議申し立てを断念した判断を裏付ける内容となっている。
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