今週末のシンガポールGPは、F1史上初めて公式に「ヒートハザード」レースと指定され、FIAは過酷な環境下におけるドライバーの安全確保に動いた。この決定は、2年前の悪名高いシンガポールGPを受けたものだ。当時は猛烈な暑さと湿度のなかで複数のドライバーがコックピット内で失神したり嘔吐したりした。今回の新しい分類により、FIAは革新的な冷却手段の導入を義務づけることが可能になり、その一例が耐火スーツの下に着用できる液体入りベストシステムだ。
現状ではこのベストは任意だが、使用するドライバーがいる場合に備えて、全チームは各マシンにバラストを搭載しなければならない。フェルナンド・アロンソは日曜のレースで初めてこのシステムを使用することを確認した。「このレース、あるいはカタールに備えて、フリー走行で何度か試してきた。日曜に使うつもりだ」とアロンソは記者団に語った。「ジャージ自体はシステムを全部組み込むと少し厚くなるから、快適さは落ちる。運転は少し不快になるけど、そのぶん涼しくなる。日曜にどうなるか見てみよう」アストンマーティンのドライバーは信頼性の問題はなかったと説明した。「レース全体でも問題ないはずだ。少なくともフリー走行の1時間では、最初の1分から60分目まで同じように作動していた」とアロンソは語った。一方、サウジアラビアでこのベストを試したカルロス・サインツは、あまり良い成果を得られなかったものの、シンガポールでは厳しい週末を覚悟している。「気温は29度くらいかもしれないが、車内でも外でも湿度を感じる。それが熱の感覚をさらに強める」とサインツは述べた。「湿度だけなら暑くなければそれほど問題じゃない。でも組み合わさると、全く別物になる」ウィリアムズのドライバーも、この冷却技術はいまだ完全ではないと認める。「壊れたり作動しなくても心配はしない。いつも通りフレッシュな気持ちでレースを走る。でも作動すれば、より苦しまなくて済むから、そのほうがいい」「完全に最適化するには改良と調整が必要なものに見える」と彼は付け加えた。一方、ガブリエル・ボルトレトは少し変わった準備をしていた。「モナコの自宅で500周シミュレーターを走った。夜は普段のTシャツの代わりに厚手のジャケットを2枚着て、暑さを再現したんだ」と笑顔で語った。
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