WRC 第3戦 サファリ・ラリー・ケニア:エバンスが今季2勝目 勝田貴元リタイア
3月23日(日)、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第3戦サファリ・ラリー・ケニアの最終日デイ4がケニアのナイバシャを中心に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 33号車)が優勝。TGR-WRT2からのエントリーとなるサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)は総合4位でフィニッシュした。なお、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)と、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)はリタイアとなった。
サファリ・ラリー・ケニアの最終日デイ4は、木曜日の夕方にSS2として行なわれた「ムザビブ」の再走ステージとなるSS17に続き、「オセレンゴニ」と「ヘルズゲート」のステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行。5本のステージの合計距離は65.99kmでした。最終日は早朝から青空が広がったが、前日に強く降った雨の影響で湿っていたり、泥状になっている路面もあった。前日のデイ3で、総合2位のオィット・タナック(ヒョンデ)に対し1分57.4秒という大きな差を築いた首位エバンスは、オープニングのSS17で4番手タイムを記録。既に十分なギャップがあるため、大きなリスクを負って攻める必要はなく、安定性と速さのバランスを上手くとりながらステージを走行した。一方、前日総合4位の勝田は、総合3位ティエリー・ヌービル(ヒョンデ)とのタイム差が33.2秒とそれほど大きくなかったこともあり、アタックを続行。SS17ではハーフスピンを喫しヌービルとの差は拡がったが、総合4位の座は守った。前日総合5位のロバンペラはSS17を3番手タイムで走り切るも、その後ロードセクションでクルマに電気系統のトラブルが発生しストップ。残念ながらリタイアとなった。続くSS18でもエバンスは確実性の高い走りを続け5番手タイムで首位を堅持。一方、勝田は果敢な走りでベストタイムを記録し、ヌービルとの差を僅かに縮めた。ヘルズゲートの1本目、SS19では勝田が3番手タイム、エバンスは5番手タイムで順位は変わらず。ナイバシャでのミッドデイサービスを経て始まった再走ステージ、SS20では勝田が今大会4目のベストタイムを記録。ヌービルとの差を32.9秒まで縮めた。そして迎えた最終のSS21、ボーナスポイントがかかるパワーステージでは大きなドラマが起こった。日曜日のみの合計タイムでポイントを争う「スーパーサンデー」で優勝の可能性があった勝田が、スタートしてすぐにロールオーバー。何とか走行を再開しタイムロスを喫しながらもフィニッシュラインを通過し、その時点では総合5位フィニッシュの可能性を残していた。しかし、タイムコントロールでクルマを前に進めることができなくなり、勝田とコ・ドライバーのジョンストンはクルマを押して何とかポディウムを通過。その後、サービスパークに設定されているタイムコントロールまでクルマを戻すべく修理を試みたが、残念ながらリタイアとなった。一方、エバンスは最終ステージも安定した走りで駆け抜け、総合2位のタナックに1分09.9秒差をつけて優勝。サファリ・ラリー初優勝、そして前戦ラリー・スウェーデンに続く今シーズン2勝目を挙げ、ドライバー選手権におけるリードを36ポイントに拡大した。TGR-WRTは今回の勝利によりサファリ・ラリーがWRCのカレンダーに復帰した2021年以降、負けなしの5連勝を達成。トヨタとしては通算13回目のサファリ・ラリー優勝となった。パワーステージエンドで行なわれた表彰式では、今回チーム代表代行を務めたユハ・カンクネンが選手達と共に表彰台の最上段に登壇。カンクネンは1985年にセリカ・ツインカム・ターボを駆り、このラリーでWRC初優勝を果たしたが、それから40年後の今大会では、チームを率いる立場でサファリ・ラリー優勝を達成しました。なお、TGR-WRTにとって今回は100戦目のWRCイベントだった。今回がサファリ・ラリー初出場だったパヤリは、最終日も安定した走りでフィニッシュ。最後まで大きなトラブルに見舞われることなく、総合4位を獲得した。豊田 章男 (TGR-WRT会長)エルフィン、スコット、優勝おめでとう! ふたりが、今シーズンの3連勝とサファリ・ラリー5連覇を実現してくれました。そして、今回のラリーでチーム代表を代行したユハをポディウムに連れていってくれました。昔からのラリーファンであるモリゾウは、せっかくならユハにはサファリ・ラリーのポディウムに立ってもらいたいと考えていました。それを実現してくれた二人に感謝します。エルフィン、スコット勝ってくれてありがとう。今回、エルフィンたちのおかげで勝つことはできましたが、ケニアは例年と変わらず本当に厳しい道でした。簡単に勝てた訳ではありません。我々は、サファリでの4年の経験を生かして万全の準備をしてケニアに臨みました。しかし今年もまたサファリでは新たな課題にぶつかりました。最終日、最終SSまで様々なことがありました。エルフィンたちにはもっと楽に勝たせてあげたかった。カッレたちには最後まで走らせてあげたかった。貴元たちも今回こそはと思っていたし、サミたちにももっと力を発揮させてあげたかった。「もっといいクルマづくりに終わりはない」を改めて実感させてくれるような道に出会うと、我々はワクワクしてきます。チームのみんなは明日からまたGR YARIS Rally1を、もっと乗りやすくて、もっと強いクルマに改善していってくれるでしょう。そして、その改善はラリーカーに留まらず、世界中を走るあらゆるトヨタ車に繋がっていきます。ケニアの道は自動車メーカーがラリーに出る意義を再確認させてくれました。チームのみんな、明日からまたもっといいクルマづくりを頑張っていきましょう!そして、ライバルたちとの戦いを楽しみましょう!ユハ・カンクネン (チーム代表代行)ここケニアで、チームにとって100回目のWRCイベントでの優勝を達成できたこと、そして、私が初めてここで優勝してから40年後に、トヨタの優勝をサファリ・ラリーで祝うことができたことをとても嬉しく思いますし、涙が溢れ出ました。近年の走行距離が短くなったサファリ・ラリーの中でも、今回は間違いなく最も過酷なラリーだったと思います。常に何かが起こっていたので、自分が運転していた時よりもずっと緊張しました。特に最終日に関しては、過去数年と比較すると少し運が悪かったかもしれませんが、最も重要なのは、このラリーで再び優勝できたことです。エルフィンとスコットは本当に良くやってくれましたし、彼らは非常に素晴らしいシーズンのスタートを切ったと思います。エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)このラリーで優勝することができたのは、素晴らし...
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