波乱のセブリングでGR010 HYBRID 8号車が2位フィニッシュ 平川亮はWECデビュー戦で表彰台獲得2022年シーズンのFIA世界耐久選手権(WEC)開幕戦セブリング1000マイルレースの決勝が3月18日(金)に米国フロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイで行われた。波乱の展開の末に、雷雨により短縮終了となったこのレースで、TOYOTA GAZOO Racing(以下トヨタ)のGR010 HYBRID 8号車が2位フィニッシュ。7号車はリタイアとなった。
昨年デビューしたハイパーカー GR010 HYBRIDはこれまでのレースで100%の勝率を誇ってきたが、2シーズン目となった今年の開幕戦では、アルピーヌの先行を許し、連続勝利記録は6で途絶えた。セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮の3名がドライブするGR010 HYBRID 8号車は苦しいレースを戦い抜き、2位でフィニッシュ。表彰台を獲得した。一方で、ディフェンディングチャンピオンのマイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスの3名がドライブする7号車は、レース折り返しとなる4時間経過目前に発生したアクシデントによりリタイア。トヨタにとって、参戦した車両がレースをフィニッシュできなかったのは、2017年のル・マン24時間レース以来となった。2台のGR010 HYBRIDは予選から苦戦し、4番手、7番手というポジションからのスタートを強いられた。スタートを担当した8号車のブエミは4周目に3位へ、そして7号車の小林もこれに続く4位へと浮上し、今大会に出場しているハイパーカー4台全車による表彰台争いが繰り広げられた。2台のGR010 HYBRIDは、スタートから1時間を迎える少し前に給油のためにピットイン。2台はグリッケンハウスをかわし、ブエミの8号車が2位、小林の7号車が3位で、首位をいくアルピーヌを追った。スタートから3時間を過ぎた頃、7号車をドライブしていたロペスが、前を行くハートレーの8号車との差を詰め、104周目にはこれをパス。しかし、この時点で首位アルピーヌとの差は大きく開いており、厳しい性能調整もあり、トップ争いに加わることはできなかった。折り返しとなる4時間を前にして、レースは大きく動いた。7号車のロペスが、周回遅れのGTクラス車両と接触してスピン。タイヤバリアにヒットした7号車は、車体にダメージを負いながらもコースに復帰し、ピットへと戻ろうとしたが、その幾つか先のコーナーでコースアウトし、再び激しくタイヤバリアにクラッシュ。ロペスは幸運にも無事だったが、7号車はここでレースを終えることとなってしまった。このアクシデントによりレースは34分間の赤旗中断となったが、2位を走る8号車にとっては不運なタイミングでの中断となってしまった。ハートレーは再スタートが切られる直前のセーフティカーラン中に、給油のための緊急ピットインを強いられ、その後、再びドライバー交代とタイヤ交換を含むフル作業のためにピットイン。ここで交代した平川がデビュー戦で初のコースインを果たした。8号車のステアリングを握った平川は2スティントに渡って好走を見せ、3位のグリッケンハウスとの差を広げ、その後出されたコース上の異物によるフルコースイエロー中に、ブエミへと交代した。レースは残り1時間ほどを残したところで、落雷の危険が近付いてきたために赤旗中断。その後一旦はセーフティカー先導の下で走行が再開され、再スタートを待ったが、再び落雷の危険があるとして走行は停止され、その時点の順位でレース終了が決定された。2022年シーズンのWECはヨーロッパへと舞台を移し、次戦は5月7日(土)にベルギーのスパ・フランコルシャンで6時間レースが行われる。小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)2022年開幕戦たくさんの応援ありがとうございました。結果は8号車が2番手、7号車は残念ながらリタイアとなってしまいましたが、ホセの身体が無事だったことは不幸中の幸いです。7号車、8号車共、同じ位のパフォーマンスでレースを進められ、今持っている力は出し切れたと思いますが、今後、ドライバーと一緒にもっと強いチーム作っていくためにどうしたらいいかを考えていかないといけないと思っています。今回の性能調整は厳しいものでしたが、チームとしてパフォーマンスを引き出すことに集中して2番手になれたのは良かったと思います。今後どんな状況でも諦めず、車の限界を掴めるよう、さらに強いチームを作れるように気を引き締めてやっていきたいと思います。残念ながらチーム代表としての初レースは優勝できませんでしたが、これも試練として、自分自身が学習して、強くなってチームを引っ張っていけるように頑張っていきたいと思いますので、これからも引き続き応援よろしくお願いします。マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー)望んでいた開幕スタートにはなりませんでした。着実な結果を期待していただけにとても悔しいです。勝てるペースではありませんでしたが、表彰台は十分に狙える位置でしたし、それが目標でした。私に交代する直前のアクシデントだったので、今日は1周も走れませんでした。残念ですが、車両の安全性が高く、ホセが無事だったのは幸いでした。それが一番大事なことです。今日のようなアクシデントは耐久レースにはつきものです。次戦スパへ向けて車両を修復し、今回のリベンジを果たすべくプッシュします。ホセ・マリア・ロペス(7号車 ドライバー)私が走っていたときはとても好調で、前を行く8号車をパスすることができました。しかし、不運にもGT車両と接触してしまい、車両前部を破損してしまいました。私はすぐにピットへ戻ろうとして、車両のダメージを見誤ってしまいました。ターン14へと進入したとき、車両の前下部が破損のために路面を擦り、ハンドルもブレーキも効かないままに真っ直ぐバリアに突っ込んでしまいました。大きなクラッシュでしたが、とても安全性の高い車体のおかげ私は無事でした。すぐに対応してくれたセブリングの救急スタッフや皆に感謝しています。私自身は何も問題なく、明日土曜日の12時間レースにも出場できると思います。ただ、チームとチームメイトには本当に申し訳なく思っています。セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー)クレイジーなレースで、7号車のアクシデントも含め、チームにとってとても大変なレースでした。あのアクシデントまでは、2台揃って良いレースを戦っていました。しかし2位というのは今日できた最良の結果であり、選手権争いに大事なポイント獲得は果たせました。セブリングに来る前から厳しい戦いになることは分かっていました。勝ちたかったですが、今日は無理なことが分...
全文を読む