2024年 スーパーGT 第3戦の決勝レースが、6月2日(日)に鈴鹿サーキットで行われ、GT500クラスはポールポジションからスタートしたNo.37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)が一時ライバルの先行を許すも再度トップに返り咲いて嬉しい初優勝。GT300クラスはNo.777 D’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ)が見事なポール・トゥ・ウインを決めた。
今季の第3戦鈴鹿は2度目の3時間レースとなった。決勝前に午後0時から行われたウォームアップ走行では、直前に雨が降ったものの、天候はすぐに回復し、路面もドライに。決勝レースにおいても序盤に一時的に小雨が降ったものの、全車が終始ドライタイヤで3時間の激闘を戦い抜いた。スタートでトップに立ったのはポールポジションのNo.37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)。スタートを担当した笹原は予選2位のNo.16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津弘樹/佐藤蓮)の追撃を退け、3周目からは徐々に後続に対してリードを築いていく。2番手の16号車だが、背後から迫ってきた予選3位のNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺)の福住の猛追を受け、5周目に先行を許してしまう。その後はNo.8 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8(野尻智紀/松下信治)にも追い上げられる苦しい展開となる。一方、2位に浮上した14号車はその勢いのままトップの37号車を追い上げる。5周目の終わりでその差を1秒弱まで縮めるも、37号車もそこからペースを上げ、10周目には2秒強とリードを広げてみせる。その後もTOYOTA GR Supra GT500の2台による一進一退の攻防は、GT300をかわしながら繰り広げられる。そして14号車は32周目、37号車は33周目に最初の給油とタイヤ交換のピットインを行なった。ここで14号車はドライバーを福住から大嶋へと代えたが、37号車はそのまま笹原が2スティント目を走る作戦を採った。40周目にはNo.23 MOTUL AUTECH Z(千代勝正/ロニー・クインタレッリ)がNo.38 KeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹)に、日立Astemoシケインで追突するアクシデントが発生、23号車はスピンアウトもレースに復帰。一方38号車はリヤ周りを大破して、41周目にピットに戻り、そのままレースを終えてしまった。23号車はこれによりドライビングスルーペナルティとなって、その後は10番手前後での攻防となってしまった。このアクシデントで散乱したパーツを排除するため、トップが42周目に入ったところでFCY(フルコースイエロー)を宣言。43周目に解除となるが、この再開時に14号車が猛然と37号車を追い上げ、2台は0.3~0.4秒の僅差を保ったまま周回を重ねる。さらに52周目、GT300車両が西コースでストップしたことによりこの日2度目のフルコースイエローが宣言され、53周目に解除となるが、トップ2台の順位に影響はなく、そのまま僅差で周回を重ねながら37号車は60周目に2度目の給油とドライバー交代を行なった。14号車はトップの37号車がピットに入ったと見るや、ここをチャンスと捉えた大嶋はペースアップ。各コーナーを攻めに攻め、62周目にピットに飛び込んだ。最後のスティントを託された福住は、見事アレジにドライバー交代した37号車の前でコースに復帰。その後も37号車に対して順調にリードを広げていった。ところが14号車はピットアウトを急ぎ、ピットロードを走行していたNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)と接触しそうになってしまった。ピットレーンにおける優先権はファストレーンを走行している車両にあるため、チームの誘導の違反と判定されて、14号車はドライビングスルーを課せられた。そして69周目にピットロードに入って制限速度で通過し、14号車の順位は4番手まで後退してしまった。しかし、それでも14号車の福住はハイペースで追い上げを行う。72周目にはNo.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)を130R手前で捉え、78周目のシケインでは16号車のインに飛び込んで2番手に浮上する。しかしトップの37号車との差はその時点で13秒弱もあった。トップを行く37号車のアレジも14号車と遜色のないペースで逃げを打つ。マージンは十分あるも、ワンミスでその差はなくなってしまう。それでもアレジは14号車を退け、37号車は3時間で92周を走り切って、トップでチェッカーフラッグを受けた。これによりNo.37 Deloitte TOM’S GR Supraは今季初優勝。笹原とアレジはSUPER GTで初勝利をものにした。2位はNo.14 ENEOS X PRIME GR Supraで、TOYOTA GR Supra GT500は開幕戦岡山に続き今季2度目のワン・ツーを決めた。それに続いたのはNo.16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16で、Honda CIVIC TYPE R-GTは3戦連続の3位表彰台となった。またNissan Z NISMO GT500勢では、予選8位から着実に順位を上たNo.12 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)が4位でフィニッシュしている。またNo.36 au TOM’S GR Supraは5位となり、坪井翔/山下健太組はドライバーランキングのリーダーを守った。ランキング2番手には8位入賞のNo.3 Niterra MOTUL Zの高星明誠/三宅淳詞が、3番手には今回優勝のNo.37 Deloitte TOM’S GR Supraの笹原/アレジ組が上がっている。