F1パドックは今週末、3連戦の締めくくりとしてバルセロナに集結。2025年スペインGPはまさに波乱と興奮に満ちたイベントとなった。マクラーレンのオスカー・ピアストリが土曜のポールに続き日曜の決勝でも今季5勝目を挙げ、チャンピオンシップリーダーの座をさらに固めた。しかし、バルセロナのカタルーニャ・サーキットではそれ以外にも多くのドラマが展開された。
ピアストリ、マクラーレンの1-2をリードイモラとモナコで開催された3連戦の前2戦では、それぞれマックス・フェルスタッペンとランド・ノリスが勝利を挙げていた――これにより、チャンピオンシップリーダーであるピアストリの3連勝はストップしていた。とはいえ、オーストラリア人ドライバーはそれらのレースで決して悪いパフォーマンスを見せていたわけではなかった――いずれも3位で表彰台に上がっていた――が、もしライバルたちがこのまま彼より前でフィニッシュし続ければ、ドライバーズ選手権首位の座も危うくなる可能性があった。ピアストリは「今年最も困難だった」と表現したモナコから立ち直るべく、バルセロナで調子を取り戻すことを目指していた――そしてその目標はすぐに現実のものとなった。3回のプラクティスのうち2回で最速タイムを記録し、予選では今季最大のポールポジション差(詳細は後述)でトップを獲得した。その勢いは決勝日にも持ち越されたようで、24歳の彼は好スタートを決め、序盤からしっかりとリードを築いた。最初のピットストップを経て一時フェルスタッペンにトップを譲る場面もあったが、レッドブルが3ストップ戦略の一環として早めの2回目のストップを行ったことで、ピアストリは再びトップに返り咲いた。その後、セーフティカー導入(後述)によって展開が動く中でもトップを守り抜き、チームメイトのノリスとともにマクラーレンに再び1-2フィニッシュをもたらした。この結果により、ピアストリはドライバーズ選手権でノリスに10ポイント差をつけて首位を堅持。一方、マクラーレンはコンストラクターズ選手権で2位フェラーリに対して197ポイントの大差を築いた。ピアストリはチームメイトのノリスを制し、マクラーレンに再び1-2フィニッシュをもたらした。セーフティカー後の混乱劇前述の通り、レース終盤にはメルセデスのキミ・アントネッリがマシントラブルでコース脇にマシンを止めたことにより、セーフティカーが導入された。これにより、ほとんどのドライバーがピットインする流れとなり、先頭を走っていたピアストリ、ノリス、フェルスタッペンもタイヤ交換を行った。ただしフェルスタッペンは、自分のマシンにハードタイヤが装着されたことに不満を漏らした――周囲の多くがソフトタイヤを選択していたのに対してである。60周目にセーフティカーがピットに戻り、残り6周のスプリントレースが開始された。ピアストリはリスタートを上手くこなしてリードを守り、ノリスとともに後続を引き離した。その背後では多くのドラマが展開された。シャルル・ルクレールがメインストレートでフェルスタッペンをオーバーテイクし、両者は接触――このインシデントはレース後に調査されたが、「これ以上の措置なし」と裁定された。続いてジョージ・ラッセルがフェルスタッペンに仕掛け、再び軽い接触が発生。これによりフェルスタッペンはエスケープロードに逃れた。レッドブルはラッセルにポジションを返すようフェルスタッペンに指示したが、フェルスタッペンはこれに不満を表明。そしてラッセルが再度仕掛けた際、2台は再び接触した。この結果、フェルスタッペンには10秒のタイムペナルティが科され、5位から10位へと順位を落とすことになった。これについてラッセルは後に「僕の見方では、ただクラッシュされたとしか思えない」と語った。 この投稿をInstagramで見る FORMULA 1®(@f1)がシェアした投稿ヒュルケンベルグ5位浮上、アロンソは今季初ポイントフェルスタッペンのペナルティにより、後方の数名が順位を繰り上げる恩恵を受け、いくつかのチームが貴重なポイントを手にした。ニコ・ヒュルケンベルグは序盤から目を引く走りを披露し、15番手スタートから1周目で一気に10番手まで浮上。その後も安定した走りでポイント圏内を維持した。セーフティカー後の混乱も追い風となり、フィニッシュ時点で6位に浮上。さらにフェルスタッペンの降格により5位が確定した。ヒュルケンベルグは「今日はすべてが噛み合った」と語った。一方、フェルナンド・アロンソはスタート時点で9番手だったものの序盤にポジションを落とし、一時はグラベルに飛び出すなど厳しい展開を強いられた。だがその後巻き返し、フィニッシュ時点で10位に入り、フェルスタッペンの降格により9位となった。これにより、今季初のポイントを獲得。アロンソは「嬉しい。ファンの皆も最後はとても喜んでくれていた」と語った。ヒュルケンベルグとアロンソは、スペイン・グランプリで激しい戦いの末にポイントを獲得した。ストロールは欠場、アストンは1台体制に予選で14番手を獲得した後、アストンマーティンはカナダ人ドライバーのランス・ストロールが手首の故障のためレースを欠場すると発表した。2023年、ストロールは自転車事故によりプレシーズンテストを欠場しており、その際に右手首を骨折、金属ネジを埋め込む手術を受けていた。バーレーンでの開幕戦には復帰したが、医師からは第2戦か第3戦まで復帰できないと予測されていたという。バルセロナでの予選後、ストロールは過去6週間にわたり再び手首と手に痛みが生じていたとし、これが以前の負傷と関係していると医師団が判断。回復と処置のためレース欠場が決定された。チームのリザーブドライバーはスペインでいずれのセッションにも出走していなかったため、レギュレーションにより交代出場は認められず、アストンマーティンはアロンソ1台のみで日曜のレースに臨んだ。土曜日の夜、バルセロナで、ストロールが日曜日のレースに出場しないことが発表された。予選では今季最大のポール差マクラーレンがこれまでのシーズンで好調を維持しているとはいえ、ポールポジション争いは接戦となることが多かった。ピアストリはこれまで4回ポールを獲得しているが、バルセロナでの一発は特に印象的だった。週末の初めには、新たなフロントウイングに関する技術指令により不確定要素も多かったが、フリー走行の時点でピアストリとノリスがタイムシートを席巻していたことから、マクラーレンが本命視されるようになって...