佐藤琢磨が、インディカー第8戦アイオワの予選でキャリア初、そして日本人初のポールポジションを獲得した。決勝レースは土曜の夜。金曜日は1時間15分間のプラクティスで始まり、次に予選が行われた。プラクティス1回目に2番手につけた佐藤琢磨はプラクティス終了間際に2セットのフレッシュタイヤを投入し、予選のシミュレーションを重ねた。
佐藤琢磨とKV Racing Technology-Lotusの今回の予選にかける意気込みは、予選シミュレーションに1セットではなく、2セットのタイヤを投入したことが示している通り、とても強いものだった。しかも、佐藤のアタック順はクジ引きにより21番手と決まっていた。遅い順番のアタックは、チームメートから情報提供を受けられるメリットがある。予選が夕方4時過ぎに始まると、チームメートのトニー・カナーン(KV Racing Technology-Lotus)は2番目のアタッカーとしてコースイン。2ラップ平均を時速179.833マイルとしてトップに立った。カナーンは走行を終えるとすぐさま佐藤琢磨のピットに向かい、路面コンディションなどをアドバイスした。カナーンのタイムを上回る者が出ないまま佐藤琢磨のアタック順は回ってきた。佐藤琢磨はアウトラップ、さらにはウオームアップラップでも思い切りスピードを乗せていき、その結果、計測1周目から180マイル台をマーク。その上、2周目にわずかながらスピードを伸ばし、平均時速180.375マイルという記録でトップに躍り出た。この後、ダニカ・パトリック(Andretti Autosport)がカナーンを上回るタイムによって予選2番手を獲得。エリオ・カストロネベス(Team Penske)はウオームアップラップは速かったが、計測2周でタイムが悪く、ポイントリーダーのウィル・パワー(Team Penske)も5番手につけるのがやっとで、佐藤琢磨のキャリア初ポールポジション獲得が決定した。このポールポジションはKV Racing Technology-Lotusにとっては通算3回目で、IZODインディカー・シリーズでは初めてとなる。日本人ドライバーは1990年にヒロ松下が初めてCARTインディカー・ワールド・シリーズに出場して以来、22年目にして初めてアメリカン・トップ・オープン・ホイールでポールポジション獲得を達成した。佐藤琢磨 (ポールポジション)「初めてのポールポジションはすごくうれしいです。チームにありがとうと言いたいです。ここまで支えてきてくれているファン、スポンサーの方々にも感謝しています。昨年もアイオワではよいパフォーマンスを見せることができていましたから、今年も競争力のあるマシンでレースに臨めると考えていました。プラクティスではニュータイヤを3セット使って集中してクルマを作り、予選ではベストの走りができました。自分のキャリアにとってもうれしいポールですが、これまでにたくさんの日本人の先輩たちが挑戦してきて、今回こうしてインディカー・シリーズで一歩前へと進むことができたので、日本のモータースポーツ界にとっても貢献できたのかな、と思います。予選も大切だと考えて集中してやってきましたが、決勝の方が重要です。この後のプラクティスでレース用のマシンセッティングをよいものに仕上げ、明日のレースを力強く戦いたいと思います」